全国消防現場でハラスメントが多発! イメージダウンで消防団員離れが加速中

画像はAIで生成したイメージ
政府機関の調査で、全国の消防本部で行われていたパワハラやセクハラの実態が浮き彫りになった。

総務省消防庁の集計によると、2023年度に全国720の消防本部で行われた暴力や性的嫌がらせなどのハラスメントは少なくとも176件発生、206人が懲戒処分などを受けていたことが明らかになった。

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中でもパワハラが圧倒的に多く145件、次いでセクハラが19件、パワハラ・セクハラなどが複合したハラスメントが11件、妊婦への嫌がらせのマタハラは1件だった。

「上司から部下へのハラスメントが83.5%を占め、同僚からのものは15.3%。処分を受けた年代は50代が最も多く、発生場所は執務室が大半でした。また食堂や車中、ガレージ、訓練室でも起きていた。昨年2月、部下にマッサージをさせるなどのパワハラ行為で長野県内の50代の男性消防署長が懲戒処分になっています」(全国紙記者)

昨年11月には、男性職員3人に対し机を叩きながら大声で怒鳴ったなどのパワハラ行為で、大阪府・泉南消防署の副署長を懲戒処分、今年1月31日には群馬県前橋市消防局の消防司令長が元部下らにパワハラしたとして、昇級を抑制する戒告の懲戒処分を受けている。

報酬は1回の出動で平均8000円程度

また、その一方では刑事事件も起きている。

2月13日、茨城県警ひたちなか署は、ひたちなか市にある消防本部の20代の男性消防副士長を同僚女性に対する不同意性交と不同意わいせつ容疑などで書類送検しているのだ。

「そのため、消防署のブラックイメージが定着して、今後消防団員離れがさらに加速することが危惧されています」(防災ジャーナリスト)

ちなみに、消防団は自治体により認定されたボランティアのような存在で「非常勤特別職地方公務員」と位置付けられている。

「1950年代前半、消防団員は200万人以上いましたが、2024年4月1日時点で約74万7000人まで減っています。消防団員の報酬は1人当たり災害に関する1回の出動で平均8000円程度。年額報酬は5万円程度と安く、なり手がいないのが現状です」(同)

火事や地震など災害救助活動を行う消防団離れを食い止めるには、ハラスメント“消防”が急務だ。

「週刊実話」3月20日号より