犯罪行為で私腹を肥やす元ヤン整備士の悪事! 血痕や銃痕のある車を“暗黙の了解”でスクラップに…

画像はAIで生成したイメージ
「車は生活必需品」という、とある地方都市で自動車修理会社『X自動車工場』を営む加藤翔氏(仮名)。

20代という若さで父親の後を継いだ彼は、本人いわく「とりあえず専門学校に2年間通っていた」だけの自動車整備士で、真面目な職人気質だった父親に比べると技術的にもイマイチだった。

にもかかわらず、なぜか代替わり後に工場の収益は上がっていったという。

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そのからくりが「犯罪行為によるもの」だと証言するのは加藤氏の先輩であるAさん(30代)だ。

「翔は元ヤンでいまだに中学時代の後輩なんかとつるんでいるんですが、その後輩を使って、近隣の駐車場に停めてある車をパンクさせたり傷をつけさせては、自分のところの集客に繋げようとするんです。いい大人が何をやってるんだ?って思うでしょうけど、地方のヤンキーっていくつになっても縦社会というか序列から抜け出せなくて、先輩から頼まれたら断れない雰囲気があるんですよ」

狙われるのは、もっぱらアパートの駐車場や個人経営の駐車場に停めてある車両が多いようだ。

「そういうとこは監視カメラが設置されてないし、夜間照明などの設備もないから、深夜となればやりたい放題なんです。被害に気がついて途方に暮れている持ち主に、翔の後輩が偶然通りかかった体で『どうしたんですか?』みたいな感じで話しかけ、翔の工場に案内するようなこともやってますね。観光シーズンになると、地主が自分の土地を臨時駐車場として開放することが多いんですけど、そこに停める観光客の車も狙い目みたいです。近所にはガソリンスタンドが何軒かあるんですけど、今ってほとんどがセルフじゃないですか? そういう店って整備士が常駐してなかったりするんですよ。翔のところは日曜とか祝日も営業しているので、必然的に重宝されるんです」

凶悪犯罪に手を貸している可能性も…

これだけでも知能犯と言えそうだが、『X自動車工場』では違法改造車の車検を請け負うことでも荒稼ぎをしているという。

「簡単に言うと、違法のパーツを純正品に付け替えて車検を通した後に、再度違法改造に戻すんです。ありがちに思えるかも知れませんけど、まともな工場ならやりません。おおっぴらに宣伝はできないけど、口コミで来るお客は多いみたいですね。儲けることしか考えていない翔にしてみれば笑いが止まらないって感じだと思いますよ」

自動車整備士としての矜持はおろか犯罪行為に手を染めている罪悪感すらない加藤氏は、最近盗難車も扱うようになったという。

「持ち込まれた盗難車のナンバーを付け替えたりしているようです。盗難車を安く買い取り、解体したパーツを売ったりもしていますね。地方では古い車に乗っている人が多いので、市場には出回っていないようなレアなパーツがあったりして高値がつくんです。翔の工場では、血痕のついた車や銃痕のある車を何も聞かず、暗黙の了解といった感じでスクラップにしますから、知らないうちに凶悪犯罪の片棒を担いでいる可能性もあります」

今さらではあるが、Aさんが『X自動車サービス』の内情に詳しいのは加藤氏の先輩というだけでなく“身内”だから。

「僕の妹が翔の嫁なんです。幼馴染みがそのまま結婚したような感じですね。翔の悪事についてはすべて妹から聞きました。妹や甥っ子や姪っ子を犯罪者の家族にしたくないので、翔には1日も早く真っ当な仕事をして欲しいと思っているのですが、何しろ儲かっているもんだから本人に危機感がないんです。翔の両親は工場を翔に譲った後は実家のある田舎に移住してしまったんですが、この事実を知ったら卒倒するでしょうね」

加藤氏が改心する日はやって来るのだろうか…。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。