朝青龍VS白鵬「モンゴル出身最強力士」を争った骨肉相食む“ライバル心”【平成大相撲伝説の名勝負4】

朝青龍の引退まで険悪さは続き…

「この劇的勝利で白鵬は朝青龍が出場停止となっていた2場所を含め3連覇を達成。会場は激しい意地と意地のぶつかり合いを見た観客の投げる座布団の乱舞が収まらなかった。ただ、その興奮ぶりももっともで、取組後の土俵には激戦の様子を物語るように、朝青龍が必死に踏ん張ってえぐれた跡が残っていたのです」(相撲担当記者)

この「近親憎悪」ともいえる2人の険悪ぶりは2010年の朝青龍の引退まで続き、たびたびその闘志のぶつかり合いが「横綱の品位を欠く」とニュースにもなったが、その最たるものが翌2009年(平成21年)初場所で起きた不祥事といえるだろう。

当時、朝青龍は調子が悪く、進退問題も取り沙汰されながらも同場所に臨んだが、初日から14連勝と白星を重ね千秋楽では白鵬に敗れたものの、14勝1敗で白鵬と並び東西横綱同士の優勝決定戦となったのである。

「この対戦で朝青龍は激しい攻めで白鵬を寄り切りで下したが、その後土俵上で誇らしげに両手を突き上げた。このポーズは今までに何度も横審に『品位を欠く』と非難されてきた行為だが、それを顧みないほど当時の朝青龍は白鵬を目の敵にしていたのです。ちなみに、前年夏場所の千秋楽でも引き落としで土が付いた白鵬を朝青龍が押したことに白鵬が憤怒。土俵上でにらみ合いが起きたほど溝が深かったのです」(同)

勝負の世界はそれほど非情だったということか。

文/週刊実話Web編集部