貴乃花が見せつけた鮮やかな世代交代の大金星! 史上初の兄弟優勝決定戦は最高視聴率58.2%【平成大相撲伝説の名勝負1】

「兄弟対決」の視聴率は58.2%

また、貴花田が絡む相撲史に残る一戦と言えば、1995年(平成7年)の九州場所で行われた史上初の兄弟による優勝決定戦も忘れてはならないだろう。

前年に兄より一足先に横綱となり四股名を改めた貴乃花は、同場所の14日目まで12勝2敗で兄の若乃花と共に優勝争いのトップに立っていた。

千秋楽では大関若乃花が武双山に、貴乃花が武蔵丸にともに敗れ、12勝3敗同士の史上初の兄弟優勝決定戦が執り行われたのである。

「若貴兄弟は1993年7月の名古屋場所でも優勝決定戦に臨んだが、このときは横綱曙を含む巴戦で、瞬間最高視聴率が66.7%を記録したもののあっけなく2人を破って曙が勝利した。そのためか、空前の若貴ブームの真っただ中で行われた兄弟決戦も瞬間最高視聴率58.2%という、紅白もかくやという関心の高さだったのです」(別のスポーツ紙記者)

場内のあちこちから大きな歓声が上がる中、立ち合いは低い姿勢の若乃花が頭を付け、相手を土俵際まで押し込んだが貴乃花も態勢を立て直す。

ただし、左上手を取った若乃花が再び寄ると、貴乃花は不覚にも膝から崩れ落ちるように土俵に転がったのだ。

決まり手は下手投げ。若乃花が16場所ぶり2度目の優勝を遂げたが、場内には史上初の兄弟対決に熱狂した相撲ファンが投げる座布団が長い時間乱れ飛んだのである。

文/週刊実話Web編集部