角打ちと立ち食いそばの不思議な合体 コンビニのような外観の渋谷『みさわ』

この日は昼間から飲んでいる若いグループが。皆、飲みっぷりも行儀も良かった。全席禁煙。
コンビニのような外観だが、中に入ればそばつゆのいい香り。麺をすする客の横に、酒を飲んでいる客がいて、ここは果たして何屋なんだろうと思う。

渋谷道玄坂上の神泉エリアにある『みさわ』は、100年近く続いた酒屋が母体だ。

時代の波にあらがえずコンビニに業態変更したものの、加盟していたフランチャイズが大手に買収されるタイミングで、角打ち&立ち食いそばに変更したのが7年前。以来、この不思議なスタイルを続けている。
立ち食いそばのカウンターとレジが並ぶ。
レジ横に並んだ天ぷらの「アタマ」を見て、思わず喉が鳴った。天ぷらをつまみに一杯なんていいな。一つは天つゆ、もう一つは塩でいただく。天ぷらは一つ160円だから、ビールと合わせても千円はいかない。 

人懐こい店主は常連が来るたびに声を掛けている。客の大半が顔なじみで、「コンビニ時代からの客もいる」(店主)とか。周囲はビル群だが個人経営の色を濃く残していて、都心とは思えない情緒に溢れている。 

缶詰に乾物とつまみも充実している。
厨房に目をやると、店主の母親が調理をしているのが見える。ごちそうさまと声を掛けるとニコッと笑ってくれた。体に無理せずいつまでも頑張ってもらいたいものだ。
みさわ
東京都渋谷区神泉町9-6
03-3461-4193
営業時間:8時~22時
休み:土・日・祝

撮影・文/キンマサタカ
「週刊実話」2024年11月28日号より