北朝鮮兵「ゼロライン」再投入で戦死者が増殖 金正恩総書記が人民の恨み節に戦々恐々

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ロシア軍によるロシア領クルスク州の奪還作戦で、1万2000人とみられる朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が、わずか2カ月余で半数に近い4000~5000人もの死傷者を出した。

ロシア軍と共に同州を奪還できなかったことに、北朝鮮の金正恩総書記は大きなショックを受けたに違いない。

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「ウクライナのゼレンスキー大統領は2月7日のビデオ演説で、北朝鮮部隊がクルスク州のゼロライン(最前線)に戻って来たと述べました。北朝鮮兵については先月、多大な損害を受けて撤退したと報告されていましたが、部隊の再編成、回復、強化後、再投入するのではないかとの予測が当たったということになります」(国際ジャーナリスト)

ドイツ民間ニュース専門局NTVによると、ウクライナでの戦闘で使われている北朝鮮製ミサイルが突然、正確に命中するようになったという。

「北朝鮮製ミサイルにロシア製の優れたナビゲーション・システム、または改良されたステアリング機能が装備された可能性が考えられます。また、ロシアは制御システム用の改良されたコンポーネントを提供したこともあり得るでしょう」(軍事ライター)

党は「ロシア派兵で死亡」を告げず

一方、北朝鮮は本国の“敵”にも警戒を強めている。

それは人民である。

2月6日の米政府系放送局ラジオ・フリー・アジアは、北朝鮮当局が、ロシアに派兵された軍人の死亡情報が住民間で広まるのを防ぐため、関連情報を流言飛語(デマ)とみなし、人民班長や保安部への通報を促すなど、住民統制を強化していると報じた。

「昨年末から党委員会が戦死した兵士の遺族に『戦死証』を授与する式典を行っている。戦死証は有事や軍事訓練中に死亡した兵士に贈られる国家表彰ですが、この証書を受けた兵士がロシアに派兵された軍人という事実が遺族を通じて広まっているという。北朝鮮当局は遺族に対して『ロシアへの派兵で死亡した』とは告げず、『党と首領のために栄誉ある戦死を遂げた』とだけ伝えているようですが…」(北朝鮮ウオッチャー)

独裁国家でも、人の口に戸は立てられない。

「週刊実話」3月6・13日号より