山下清画伯に憧れて車中泊放浪! ヒコーキが織りなす一瞬の絶景を切り撮った空港撮影記

『ニッポン全国空港放浪記 空港ヒコーキ絶景ガイド』A☆50/Akira Igarashi
◆『ニッポン全国空港放浪記 空港ヒコーキ絶景ガイド』イカロス出版/2500円(本体価格)

――飛行機や空港を撮影するようになったきっかけは?

五十嵐「幼少期より羽田空港に着陸する機体を眺める環境に育ち、気が付いたら自然とヒコーキに興味を持ち好きになっていました。出版社を退社後、フリーのディレクターとして独立したのですが、写真撮影を自分でやってみたくなり、成田空港へヒコーキを撮りに行ったら一発で虜になってしまいました。車中泊による放浪ヒコーキ撮影を始めたのは、山下清画伯に憧れていたからです」

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――年間を通してどのようなスタイルで撮影しているのでしょうか?

五十嵐「年間の約3分の2をヒコーキ撮影に充てています。自宅から近い羽田空港や成田空港で撮影し、それが片付くと車中泊による1〜2カ月の全国長期遠征に出ます。ほぼ毎日ヒコーキや天気などの撮影条件のことを考えて生活していますね」

日本で最も有名な絶景ヒコーキポイントは…

――これまでの撮影の中で記憶に残っているエピソードを教えてください。

五十嵐「コロナ禍が思い出に残っています。いつも混雑していて需要が逼迫していることで有名な福岡空港が、ガラガラに空いているのを見た時には、ただ事ではないなと感じました。また、自宅マンションのベランダからバズーカのようなレンズを付けて羽田空港の離陸機と月の絡みの作品をよく撮っているのですが、洗濯物を干している奥さまや道行く人たちから、盗撮をしているのではないかと疑われているような気がして…。当初は撮っては屈んで隠れたりしていたのですが、余計怪しいということに気付き、今では普通に撮っています(笑)。またある時、静岡空港の滑走路近くにある公園で、車内で仮眠していたのですが、里山の頂上付近で人通りの少ないうっそうとした場所だったにもかかわらず、明け方ふと目が覚めて窓に目をやると、ずぶ濡れのおばあさんが外から覗いていたことがありました。心臓が止まるかと思うほどビックリしましたね。最初は幽霊が出たかと思いましたが、実は散歩のおばあさんが心配して覗いてくれたようで、ほっとしました」

――オススメの撮影ポイント、空港を教えてください。

五十嵐「おそらく日本で最も有名な絶景ヒコーキポイントは、伊丹空港の千里川土手(2025年1月現在工事中箇所あり)ではないでしょうか。合法的に浮いている大型ジェット機を間近に見られるレアな場所で、超オススメです。カップルの方は夜景もキラキラしているので、雰囲気も抜群ですよ」

聞き手/程原ケン

「週刊実話」3月6・13日号より

A☆50/Akira Igarashi(いがらし・あきら)

瞬殺の写真家。またとない瞬間を切り撮るため、全国の空港を放浪ヒコーキ撮影。スカイマーク社のオフィシャル撮影、JAL社のオフィシャルカレンダーの撮影を担当。日本写真家協会(JPS)会員。