市場拡大の裏側で悪質仲介業者が増殖中! M&A業界に高まり始めた警戒感

画像はAIで生成したイメージ
ますます加速する少子高齢化。それに伴い、日本中の多くの企業が人手不足、後継者難という大きな課題に見舞われている。

ここ数年、その解決策として注目され、飛躍的に伸びているのがM&A(企業合併・買収)業界。だが昨今、悪徳とも取られかねないM&A業者によって、事業が継続されずに、企業の資産だけが抜き取られてしまうネガティブな経済トラブルなども多く聞かれ、世間のM&Aに対する見方も変わってきているという。

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1月28日に帝国データバンクが発表した「M&Aに対する企業の意識調査」によると、今後5年以内に「M&Aに関わる可能性がある」企業は29.2%となり、前回調査(2019年6月調査)に比べて6.7ポイント低下した。

一方で、今後5年以内に「関わる可能性はない」企業は、規模、業界のいずれの項目でも前回調査を上回り、M&Aに対する警戒感が高まる結果となった。

また、買い手側の不適切なM&Aが問題化し、「規制強化の必要がある」と考える企業が59.4%に上り、悪質なM&Aに対する規制は急務と言える結果となった。

公的機関の介入求める声が増加

さらに回答企業から「M&A支援は社会的影響が大きく、民間企業にも公的側面に基づく相応の責任・義務を負った対応が求められるべき」といったコメントもあり、悪質なM&Aに対する法整備や公的機関の介入、監視が必要といった声が多く上がっている。

1月24日には、中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録している仲介業者に対して初の取り消し処分が行われるなど、国も業界健全化に動き出しているが、法の抜け穴をかいくぐる悪徳業者は後を絶たない。

経営者が安心してM&Aによる事業承継ができる市場形成は、日本経済発展のためには喫緊の課題であることは間違いない。

「週刊実話」2月20日号より