金正恩の実妹でもしょせん“傍流”!「経済扇動」で露呈したロイヤルファミリー・金与正氏の危うい立場

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北朝鮮の金正恩総書記の実妹・金与正朝鮮労働党副部長と配下の「経済扇動隊」の専横な振る舞いが止まらない。

北朝鮮当局は、昨年末に開催された朝鮮労働党中央委員会の結果に基づき、各地の行政機関や国営企業に対し、ノルマ達成に向け当面の間、「経済扇動」を行うよう指示した。

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「経済扇動隊は『全党と全社会の金正恩思想一色化』のスローガンを掲げている。職場に出向いて演説や歌を歌うことで生産意欲の向上とともにこのスローガンの浸透をごり押ししているのですが、職場からは内心、『やめてほしい』との切なる願いが湧き起こっています。ただうるさいだけでなく、軍団員だけに特別待遇が施されているからです」(北朝鮮ウオッチャー)

「経済扇動隊」が活発な動きをみせる裏には、兄・正恩総書記に対する与正氏の忠誠心が色濃く反映されているとみられているが、この与正氏の「正恩ファースト」の姿勢は、友好国との交渉の場においても変わらないという。

昨年7月に準同盟国ともいえるベラルーシのルイジェンコフ外相が北朝鮮を訪れたが、この際同外相はウクライナ情勢を主眼にロシアの同盟国として互いに友好を確認するという内容で、北朝鮮の崔善姫外相と和気あいあいと会談した。

ところが、年が明けてベラルーシ外務省からさらなる外交提案がなされると、これに与正氏が嚙みついたのだ。

子供たちもVIP席に座れず…

「ベラルーシのルカシェンコ大統領が、自国で2025年の対外貿易問題に関する会議を開催するため、パキスタンやインドネシア、北朝鮮など5カ国に対し首脳会議参加を提案したとベラルーシ国営通信が報じたところ、与正氏は1月20日に『そんな事実は知らない』と全面否定する談話を発表したのです。たぶん、与正氏は首脳会談を呼び掛けるなら『まず、ルカシェンコ大統領が正恩氏に“朝貢”(=貢物をささげて了承を得る)するべき』とクギを刺したかったのでしょう」(同)

ちなみに、今年の元日に平壌で行われた新年慶祝公演のテレビ放送では、与正氏が女児と男児を連れてメーデースタジアムに入場するシーンが映し出された。

韓国の情報機関・国家情報院は「実子ではないか」と分析しているが、このときにはさらに思わぬ光景も目撃されていたという。

「正恩氏と娘が並んでVIP席に座り公演を鑑賞していたのに対し、与正氏の子供たちの姿はVIP席にはなく、他の高官たちと同じ席でした」(同)

北朝鮮では最高指導者でなければ支配者にあらず。

たとえ与正氏が正恩氏の実妹であっても、ただの“傍流”にすぎないのだ。

「週刊実話」2月20日号より一部内容を変更