幾多の経営危機を乗り越え日本で一番「ありがとう」と言ってもらえる温泉施設を誕生させた物語

『日本一の温泉をつくろう!』早川善輝
◆『日本一の温泉をつくろう!』扶桑社/1400円(本体価格)

――温泉業を手掛けることになったきっかけは?

早川「家業の継承意識と、温泉が持つとされる健康促進効果への関心がありました。特にラドン温泉を体感したことで『日本一の温泉をつくる』という強い目標が生まれました。もともと父が『温泉付き老人ホーム』の建設を計画していたのですが、私が土壇場で『ラドン温泉旅館』を提案し、現在に至っています」

【関連】“恋愛番長”こと占星術研究家・石川円華が今春CDデビュー「モテるためのアドバイスソングです♪」 ほか

――ラドン温泉にはどのような効果があるとされるのでしょうか?

早川「ラドン温泉とは、浴槽に直接気体のラドンガスを送り込む設備です。ラドンには強力な電離作用による免疫細胞の活性化効果などを期待できるとされています。また、ラドンガス吸入によるラドン療法は、アルファ線療法の一種といわれており、当温泉では設置されている発生器の濃度により、10分間という短時間での吸入を可能にしています。サウナ以上のデトックス効果があると思いますよ」

東日本大震災後は風評被害にさらされ…

――過去にはラドン温泉に対する偏見もあった?

早川「ラドンそのものが『放射性元素』であるため、東日本大震災時にはかなりの大打撃を受けました。ある原発担当者からは『流出放射線』について、ラドン温泉の線量と引用比較する発言もあり、炎上に拍車をかけました。風評被害は収まらず、事故発生から3年間、来館者はなく、開店休業状態が続きました。ラドン温泉で使用される放射線量は極微量であり、人体への影響はありません。私はこれ以降、SNSなどでラドン温泉の正しい知識を普及させる活動を積極的に行っています」

――「本当に来てよかった!」という声が相次いでいます。

早川「そういった声の背景には、専門家指導のもと、大型業務用ラドン発生器を6基設置したことがあります。アルファ線療法・ラドン療法に加え、免疫力向上を目指した入浴プログラムを提供しています。ラドン温泉が健康維持に大きく貢献しているのは、利用者の体験が物語っていると言っていいでしょう」

聞き手/程原ケン

「週刊実話」2月20日号より

早川善輝(はやかわ・よしてる)

竜王ラドン温泉 株式会社湯ーとぴあ代表取締役。1958年、山梨県生まれ。専修大学在学中に父親と一緒に温泉施設を起業。77年に竜王ラドン温泉を開設し、89年には株式会社湯ーとぴあの代表取締役に就任。