石破首相「春の大連立」に手ぐすね? 政界再編のキーマンは“盟友”立民・野田代表と維新・前原共同代表か

石破茂(C)週刊実話Web
【政治ドキュメント2】

石破首相は少数与党ながら臨時国会を野党との「熟議」で乗り切ったことで自信をつけ、政権維持への意欲を隠さない。

この先、野党の出方次第では衆院解散も辞さない構えだ。最短で3月。果たして“春の桜解散”はあるのか。運命の通常国会裏ドキュメント!

【関連】トランプ強権外交で加速? 石破政権「米国離れ」と習近平「国賓来日」の“恐ろしきシナリオ” ほか

予算案の衆院通過は3人次第

石破茂首相が強気の発言をするのは当然、それなりの算段と展望がなければできるものではない。

首相に近い旧石破派中堅議員が明かす。

「まさしく立憲民主党の野田佳彦代表と、日本維新の会の前原誠司共同代表がキーマンだ。この2人と石破首相との人間関係は、周囲が思う以上に深い。首相は年始のラジオ番組で、2人について『中道政治を目指し、相通じるものがある。長い友人で信頼でき、裏切られたことが一度もない』と語ったが、これは本音だ。政治家として先に見据えているものを共有している」

この見方を、まず予算案審議に当てはめると、首相は立憲民主や維新の予算要求について、受け入れ可能な部分は修正に応じ、衆院予算委での可決を目指す段取りを描いているとみていい。

3人の「あうんの呼吸」による予算案の衆院通過だ。

立憲民主は学校教育での給食無償化に加え、「無駄が多く財政民主主義に反する」(野田氏)として、第2次安倍政権以降に定番化した巨額の予備費や各種基金への積み増しの削減を求めている。

維新は、25年度からの高校授業料の無償化が譲れない要求だ。

先の中堅議員によると、首相は既に財務省に両党と水面下で調整するよう指示。高校無償化については、必要な予算を6000億円と試算した上で、25年度は予備費を活用し、26年度以降の措置は6月にまとめる「骨太方針」に盛り込み担保する方向でどうかと、維新側に投げているという。

高校無償化と基金削減を丸のみ

立憲民主が25年度予算案で「計109基金に約7.8兆円の積みすぎがある」と批判を強める各種基金については、同じく財務省に精査を指示。首相は削減を念頭に、一部報道のインタビューで「修正すれば賛成するという党があれば、応じる可能性は否定しない」と、修正に含みを持たせた。

「これで立憲民主、維新とまとまれば予算案は可決できる。だが、問題は自民党内の抵抗で修正できず、国民民主も妥協に応じないため予算案が可決できない場合だ。このとき、首相は解散するだろう。その先に見据えるのは政界再編だ。これこそが、首相が野田氏、前原氏と描く日本の政治の姿と言っていい」(前出・中堅議員)

この通りなら、首相は財政健全化を旗印にしての衆院解散と、立憲民主や維新との大連立や政界再編の実現を胸に秘めていることになる。

こうした首相の思いに呼応してか、野田氏は1月22日、日本記者クラブでの会見で「未来世代から搾取する政治はもうやめるべきだという強い決意でやっていきたい」と述べ、安易な減税論には与しない考えを強調した。

とはいえ、政局が石破首相の思惑通りに運ぶ保証はまったくない。

一つは、やはり自民党内で抵抗が強まり、「石破おろし」が激化する可能性があることだ。

現在の自民党は岸田政権までの自民党と違い「政策がスムーズに決まる」(党関係者)ことに気づいている人はあまりいない。

「派閥がなくなり、数の力を見せつけた旧安倍派は衆院選で一掃され、長老の力も衰えた」(同)ので、執行部の力が相対的に強まっており、この党内力学の変化が、首相の政権運営における自信の根拠の一つになっているのだ。

【政治ドキュメント3】へ続く

「週刊実話」2月13日号より