豊昇龍は横綱にふさわしいのか? 直近3場所33勝も…相撲協会のやむにやまれぬ“お家事情”

両国国技館 (C)週刊実話Web
「横綱の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で精進いたします。本日は誠にありがとうございました」

東京都台東区の立浪部屋で行われた昇進伝達式でかみしめるように口上を述べたのは、大相撲初場所(東京・両国国技館)で9場所ぶり2回目の優勝を飾り、第74代横綱に昇進した豊昇龍(25)だ。

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前半、本命や有力候補が相次いで敗れ、終盤まで平幕力士が先行する異例の展開となった初場所は、豊昇龍、王鵬(24)、金峰山(27)の優勝決定巴戦に突入。これを制して見事横綱に昇進しただけに、喜びもひとしおだったようだ。

「実際、優勝が決まった瞬間も豊昇龍は、思わず涙をこぼして『うれし涙は初優勝のときと2回目。どっちも優勝決定戦、ヤバイよね。今回も最後にチャンスがめぐって来たので、逃さないぞ、と思った』とひと際、声を弾ませた。一時は白星で3差もつけられた絶体絶命のピンチから勝ち上がったため、うれしさも桁外れだったはずです」(大相撲担当記者)

もっとも、この逆転優勝で豊昇龍以上に胸を撫で下ろしているのは八角理事長をはじめとする日本相撲協会の首脳陣と評判だ。

なぜなら、初場所では6日目に1人横綱だった照ノ富士(33)が突如引退。もしも、初場所後に新しい後継者が誕生しなければ、来場所は32年ぶりの横綱不在の場所になるところだったからだ。

相撲協会にとっては“渡りに船”の横綱昇進

「横綱は興行の大事な目玉。10月にロンドン公演、来年6月にパリ公演を控え、何がなんでも新横綱が欲しいところでした。そこに先場所、優勝は逃したものの13勝した豊昇龍が優勝したんですから、まさに“渡りに船”。すぐさま新横綱昇進に向かって動き始めました」(同)

場所前の豊昇龍の横綱昇進には、高いレベルの優勝が課せられていた。しかし、今回は12勝止まりで、2連敗を含む3敗はいずれも平幕に喫したもの。15日制が定着した1949年夏場所以降、連敗して横綱になった力士はいない。

「3場所前は8勝。ここ3場所の通算勝ち星も33勝。これは大関昇進のレベルだ。また、豊昇龍はあの元横綱朝青龍の甥で、素行が不安視されたこともある。そうしたことから審判部内では、『もう1場所、見るべきでは』と慎重論も噴出した」(同)

だが、高田川審判部長(元関脇安芸乃島)は「負けた3番も前に出て負けている。力負けではない。特に優勝決定戦は素晴らしかった。十分昇進に値する。私の責任で判断した」と強引に横綱昇進を推した。

果たして、豊昇龍は大相撲界の救世主となるか。真の評価はこれからだ。

「週刊実話」2月13日号より一部内容を変更