がん患者らが怒り心頭! 命綱「高額療養費」の自己負担引き上げで高まる「冷酷非道」の恨み節

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高額療養費の自己負担引き上げに、がん患者団体などが怒り心頭だ。

医療費が高額になった患者の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」について、厚生労働省は自己負担の上限額を今年8月から2027年にかけて段階的に引き上げる方針を固めた。

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ただでさえ、がん治療にはお金が掛かるのに、自己負担が増えるとあって、がん患者らは猛反発。政府側が引き上げについて説明を尽くしたとはとても言い難く、その不誠実な姿勢はがん患者や高額療養費制度を必要とする患者らの怒りを買い、火に油を注ぐ格好となっているのだ。

高額療養費制度とは、医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が上限額を超えた場合、その超えた分があとで払い戻される制度のこと。

「抗がん剤には高額なものが多く、大半のがん患者がこの制度を利用しています。治療に専念するため、仕事を休まざるを得なくなり、給料が減った患者にとっては大変助かる制度です。重い病の人の負担を増やすのは理解に苦しみます」(全国紙厚労省担当記者)

昨年12月末、全国がん患者団体連合会(天野慎介理事長)は、福岡資麿厚労相らに引き上げの軽減を求める要望書を提出した。

同要望書には、「特に『長期にわたって継続して治療を受けている患者とその家族』にとっては生活が成り立たなくなる」「治療の継続を断念しなければならなくなる患者と、その家族が生じる可能性が危惧される」などの悲鳴が記されている。

がん患者にとって高額療養費制度は、まさに“命綱”なのだ。

岸田前首相は「実質的負担は生じない」と説明

元日本テレビ記者&キャスターで、がん患者の支援相談センター『マギーズ東京』共同代表理事の鈴木美穂さんは乳がんサバイバー。鈴木さんはSNSで自己負担額の引き上げについて「実際にがんになって、高額な治療をしてこの制度に救われた1人として、恐ろしくて仕方ないです」と書き込んでいる。

「政府は自己負担の引き上げ分を少子化対策に充てる方針です。少子化対策の財源は、公的医療保険料に上乗せして徴収する支援金制度を創設して確保し、2026年度から徴収を始める。岸田文雄前首相は歳出改革などで『実質的な負担は生じない』と言ってきました。今回の高額療養費の自己負担引き上げが、岸田前首相の歳出改革ということのようです」(全国紙社会部デスク)

重病患者の負担を増やすことが歳出改革とは冷酷非道も極まりない。

そもそも、このあたりの説明をほとんどしていない政府の姿勢には呆れるばかり。がん患者らが怒るのも無理はない。

「週刊実話」2月13日号より