
痛風に似た名前の偽痛風という病気があります。どちらも関節に激烈な痛みを生じ、腫れる病気で、痛風と同じような症状なので偽痛風と言いますが、その原因はまったく異なります。
痛風は中年男性に多く、体質や偏食などで血中の尿酸という物質が多くなり、身体のどこかに尿酸ナトリウムという結晶を排出する時に痛みや腫れを生じる病気です。対して偽痛風は、高齢になるほど発症しやすくなりますが、男女差はありません。軟骨や半月板にピロリン酸カルシウムという物質が貯まり、何かのきっかけで関節内に出た時に激烈な痛みと腫れを生じます。
偽痛風には決まった治療薬がない
痛風よりは大きな関節、特に膝関節に多く、手関節、肩関節、股関節などに発症します。首が突然痛くなって動かない時に、第1頚椎と第2頚椎の間にピロリン酸カルシウム結晶が貯まっていることがあり、この場合はなかなか診断がつきません。全身の発熱は多くなく、X線検査で関節内の半月板などに石灰化陰影があり、濁った関節液の顕微鏡検査でピロリン酸カルシウム結晶が見つかれば、診断がつきます。
痛風と違って全身性の病気ではなく、決まった治療薬はありません。関節液の穿刺や消炎鎮痛薬を服用することで、数日でよくなります。
中には両側同時に関節炎を生じたり、何度も同じあるいは違った関節に偽痛風の発作を起こすこともあります。繰り返す場合は少量のステロイドホルモンを短期間内服すると収まります。
監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPは下記。
https://ijiri.jp
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