今春、日本郵政グループと資本業務提携した楽天グループの通信子会社『楽天モバイル』が、通信大手3社を脅かしている。第5世代移動通信規格(5G)に対応した米アップル社のスマートフォン『アイフォン12』と『アイフォンSE』などの機種を、5月中にも一部の郵便局で実験販売することが予想されているからだ。
「楽天モバイルが販売するデータ容量64ギガバイトのアイフォン12を一括で購入する場合、価格(税込)は10万1176円。通信大手の『NTTドコモ』『ソフトバンク』『KDDI』3社より200円~9704円安い。しかも、全国にある約2万4000局の郵便局販売網で売られたら、大手3社にとっては大打撃です」(携帯電話アナリスト)
楽天は日本郵政の1500億円だけでなく、中国ネット最大手『テンセントグループ』からも657億円を資金調達。同社は日本郵政に次ぐ大株主となった。
「米国のトランプ前大統領は、アプリを通じて個人情報が中国政府へ流出することを恐れ、テンセントなど中国系企業との取引を禁止する大統領令に署名した。バイデン政権になってからも、国家安全保障局をはじめ日本政府にもその懸念を伝えたことで、楽天に対する政府の監視の目は強まっています」(政界関係者)
大手3社は楽天の動向に相当ナーバスに…
日本では2020年5月に改正外為法が施行。安全保障上の観点から、重要な日本企業への外国人投資家の株式取得を厳格化したが、〝純投資〟を主張するテンセント側は外為法の事前規制すり抜けに成功した。
昨年4月に携帯電話事業市場に参入した楽天の加入者数は、1年間で400万人を超えている。全国の郵便局でスマホが販売されれば、大手3社の牙城の一角が崩れる事態になりかねない。
「楽天の情報が、テンセントを通じて中国政府に筒抜けになる懸念は拭えない。日本政府の監視も厳しくなるでしょう。5Gシステムの営業秘密流出をめぐりソフトバンクが楽天モバイルを提訴したように、大手3社は楽天の動向に相当ナーバスになっています」(同)
携帯業界は弱肉強食だ。
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