労働環境の悪さで人気急落! 公立教員の採用倍率“過去最低”で押し寄せる教育の質&学力低下の大波

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昨年末、文部科学省(以下、文科省)は、2024年度に採用した公立学校の教員採用倍率が3.2倍と3年連続で過去最低になったと発表した。

小学校は5年連続教員不足で、教育の質の低下による生徒の学力低下が懸念されている。

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文科省によると24年度に採用された全国の小中学校と高校を合わせた受験者総数は11万5619人で、前年から5000人以上減少。採用倍率は2000年度の13.3倍をピークに低下傾向に転じ、教員不足が慢性化。小学校は2.2倍と前年から0.1ポイント減、中学校は0.3ポイント、高校も0.6ポイント下回り小中高校すべてで最低に。

なぜ、教員不足が起きているのか?

「労働環境の悪化や給与水準の低さが指摘されています。長時間労働や過密スケジュール、業務の過重負担が重なり退職や転職を考える教員も続出している。一方で、若手の教員の場合は給与水準が他の職種と比べて低いことから将来に不安を感じるなど、魅力のない職種に陥っているんです」(教育ジャーナリスト)

過労死ラインの中学は44%

文科省は19年に教職の時間外勤務について上限を月45時間、年360時間というガイドラインを設けた。

昨年7〜9月に行った教職員アンケート調査では、全国の時間外労働の平均値は月49.9時間。中学校67.5時間、小学校46.9時間、高校42.8時間で、“過労死ライン”とされる月80時間以上は中学校で44%に上るという回答結果が出ている。

「教員の社会的な評価が低下していることも教員不足に拍車を掛けている。その結果、教育の質や学習環境にも影響をきたしている。特に理科や数学、英語といった専門性の高い科目では教員の確保が難しいため、これらの科目を担当する教員の負担増も心配されています」(都内の大手塾講師)

国や自治体では、教員を再雇用するなどの対策を講じているが、まずは教員の労働環境改善が急務だ。

「具体的には業務の効率化やICT(情報通信技術)の導入、さらに教員の業務をサポートするスタッフの増員が求められています」(都内の中学校元教員)

果たして、教員不足は解消されるのか。

「週刊実話」1月30日号より