冬の味覚「トラフグ」の名産地・山口県が青息吐息…今や水揚げ量日本一は北海道、福島県では漁獲量急増!

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山口県は冬の味覚を代表するトラフグの産地として知られるが、いまや日本一の水揚げ量は北海道で、数年前からは東日本の宮城県、福島県、千葉県でも豊漁続き。明治時代にフグ食が初めて解禁された山口県は危機感を強めている。

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水産研究・教育機構によれば、山口県のトラフグ漁獲量は、2000年代初頭は年間60〜90トン台だったものが、この5年は21年度の60トンを除いて40トン前後で推移している。

特に減少が目立つのは瀬戸内産で、18年度以降は1桁台まで激減しているのだ。

「山口県の日本海側のトラフグは、春に関門海峡から産卵場がある瀬戸内海に入る。ところが近年は海流の変化で、海峡付近を温かい海水が塞ぐ形になった。そのために低水温を好むトラフグが産卵場に辿り付けなくなっている可能性があり、漁獲量が激減したとみられているんです」(漁業ライター)

一方、北海道ではオホーツク海側での漁獲量が伸びたことにより、19年から漁獲量日本一へと躍り出た。

「ただ、北海道ではフグを料理できる調理師が少ない。“フグの毒”という壁にぶつかり、地元では豊漁にもかかわらず頭を痛めている。一方、フグが大量に水揚げされるようになった福島県はブランド化を推進しています」(フードライター)

千葉県が加工を山口県に依頼

ちなみに、福島県では16年度のフグの漁獲量はわずか43キロだったが、23年度は約29トンと激増。福島県産の大半を水揚げする相馬市では、22年から『福とら』のブランド名でトラフグを地元や関東圏に流通させている。

また一昨年、トラフグ漁獲量が44.6トンと過去最高を記録したのが千葉県だ。

中でも29.8トンの水揚げがあったいすみ市は、フグの本場である山口県下関市のフグ加工水産会社に出荷したほど。

「いすみ市側が下関市に出荷したのは、フグの加工を大量にこなせる会社が下関にしかないからです。山口県としてはフグが減少していることから千葉県からの出荷は大歓迎に違いないが、名産地だけに忸怩たる思いもあるでしょう」(東京・豊洲市場水産仲卸業者)

フグブランドを明け渡す日も近い?

「週刊実話」1月30日号より