遺跡や白骨の隠蔽も日常茶飯事! ヤバい発掘物をすべて「なかったこと」にする建設現場のおそろしき闇



証拠隠滅で完全犯罪に加担

余談だが、Aさんが関わった現場の中には「やくざが死体を捨てたり埋めに来る」という都市伝説めいた場所もあったそうで、Aさんの同僚が「見なかったことにして埋め直した」ことを告白している。

「人骨が見つかったとなれば、警察や鑑識がやって来るし、現場保存とか言われたら工事はできません。証拠を隠滅することで『完全犯罪に加担することになるかも知れない』なんて思ったりもしますけど、それより自分の生活の方が大事じゃないですか? 現場がなくなったら、みんなおまんまの食い上げですから」

とは言うものの、Aさんには、どうしても気になって仕方がない話があるという。

「群馬県内の現場の話です。所有者が分からない山を切り崩す作業をしていたら、人骨っぽいものが出てきたらしいんですよ。『っぽい』と言うのは、骨が成人のものよりも細くて小さかったからだそうです。『野生動物の骨だろう』ってことで、その場で砕いて処分してしまったという話ですけど、その場に立ち会った作業員の1人が『あれは人間の子供の骨じゃないか?』と思ったって言うんですよ。確か北関東って、子供が行方不明になった事件が何件もありましたよね? もしかして関係があるのかなと思って…いや、もう証拠としては残っていないので何とも言えないですけどね…」

「生活がかかっている」という主張はもっともだが、彼らの行いで「歴史や犯罪が隠蔽されたかも知れない」と考えると、複雑な気分になるのは筆者だけではないだろう。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。