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日本全国☆釣り行脚~『メジナ』~静岡県伊東市/八幡野港産

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

今週も〝釣りと健康〟のコーナーがやってまいりました。清々しい初夏を迎えておりますが、皆さまいかがおすごしでしょうか。

ワタクシはと言いますと、過日に健康診断を受けましたところ、「適度な運動を心がけましょうね」と言われてしまいました。

「1駅分を歩いて通勤」

「なるべく階段を利用」

担当の女医さんからはそんな提案をされましたが、そもそも怠惰なワタクシがそんな崇高なコトを実行できるワケがありません…。

ただ、大好きな釣りとなれば話は別で、歩くのはさほど苦になりません。ということは、それに多少のアップダウンが加わる磯からの釣りならば、多少は運動になるのではないかと考えたわけです。われながら実に浅はかですな。

というわけで、磯釣り好きの釣友に同行し、静岡県下田湾内の小磯で竿を振ったのが前回のお話でした。して今回は〝健康のための釣り〟第2弾。下田から伊豆半島を北上して、伊東市の八幡野地区の磯へと移動してきました。

ここには〝ヒナダン〟と呼ばれる有名な磯がありまして、その名の通りひな壇のような階段状の岩場から竿が出せるのです。ここで仕掛けを投げては取り込むのを繰り返せば、踏み台昇降運動をするのと同等。さしたる苦もなくカロリー消費を実現できるわけです。

夜の帳が下りる頃合いで現地に到着。駐車場から眼下に広がる磯を見回すと、海面には電気ウキの灯りが3つほど漂っております。

漁港内をくまなく探り歩くと…

「これじゃ運動ができねぇじゃねぇかぁ~」

少々ガッカリしましたが、だからと言ってズカズカと隣に入って行ったり、「何時までやりますか?」などと聞きに行くのは、釣り人としてのたしなみに反します。自分の欲求のために他人の楽しい時間に水を差すのは、野暮ってものですからねぇ。ここは悔しさをグッと呑み込み、隣接する八幡野漁港で時間をつぶすこととしましょう。

幸いなことに、こちらはガラ空きです。とりあえず先端部に荷を下ろし、イソメやサバの切り身を付けた仕掛けを投げ込んで、魚が掛かるのを待ちます。

…って、これじゃあ運動にならねぇじゃねぇか~っ。イカンイカン。少しでもカロリーを消費するには動かねば!

ということで、愛用の安竿に堤防メバル用の2本バリ仕掛けを結びつけ、漁港内をくまなく探り歩くことにします。ま、コレも普段の釣りと大して変わらないような気もしますが、歩くぶんだけ多少はマシかと。

「小物でもいいから、何かアタリがあれば飽きずに続けられるのよねぇ」

堤防際に仕掛けを落とし、反応がなければ数歩歩いて再び仕掛けを落とす。これを繰り返しながら漁港最奥部を探ることしばし、やおら「クンッ!」という手応えが伝わりました。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

とっさに竿先を下げるとさらに「クンクンッ!」。やや間をおいて「スーッ!」と持ち込んだところで手首を返すと、重量感が竿に乗りました。ハリ掛かりです。

「ギュギューンッ!」

カサゴやメバルを想定してヤリトリを始めましたが、想像以上の強烈な引きに思わず腰を落としてしまいました。

港奥の足下で大満足の良型!

「メバルだとしたら、かなりの良型。でも、こんなに走るやろか…?」

慎重にヤリトリをするうちに水面を割って出たのは、丸々としたメジナ!

「う〜む、嬉しいけどこの細仕掛けでは上がらんな…」

すかさず堤防先端にいる釣友に電話をかけ、玉網を要請します。本当に便利な時代になったものです。昔は大声を出すか、イチかバチかで抜き上げるしかなかったわけですからねぇ。

玉網を手に駆け付けた釣友のアシストもあって無事に取り込んだのは、36センチの口太メジナでした。磯から専門に狙う、いわゆる〝グレ釣り師〟にとっては中型扱いでしょうが、ワタクシにとってはなかなかの大物。運動も健康もすっかり忘れて満足してしまいました。今日のところはコレで勘弁してやりますかね。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

このメジナという魚ですが、食味について〝磯臭い〟と評されることがしばしばあります。ただ、釣れたその場で血を抜くなど、確実に手当てをすれば美味しく食べられます。まして今回は肉付きもよい魚体ですから期待大です。

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日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web 

『磯自慢 青春 純米吟醸50』を傍らに刺身と焼霜造りで晩酌開始。プリプリな白身は脂乗りもよく、品のよい甘味が感じられます。焼霜造りは香ばしい皮目の味わいと白身の甘さが抜群。刺身との相性に評価の高い『磯自慢』の進むことといったらもう…。

健康と快楽は、なかなか一致しないものですな…。ワタクシはもう即決で快楽を選択します。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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