蝶野正洋が世代交代で起きるプロレス界の人気低迷防止策を提案!「ウルフ・アロンをリングへ!」

蝶野正洋(C)週刊実話Web
俺の“仕事始め”は、1月4日に行われた新日本プロレスの東京ドーム大会『WRESTLE KINGDOM 19』テレビ中継の解説だった。

メインイベントは現IWGP世界ヘビー級チャンピオンのザック・セイバーJr.選手に、デビュー7年目の海野翔太選手が挑んだタイトルマッチ。結果は40分を超える熱闘を繰り広げた末に、ザック選手が防衛。海野選手に対しては、一部のお客さんからブーイングも飛んでいた。

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東京ドームのメインとして100点満点の試合ではなかったけれど、海野選手はよくやったと思う。

相当なプレッシャーもあったと思うし、それを受け止めながら新日本プロレスを引っ張っていくんだという気概が感じられたね。

ただ、集客の面でいまひとつだったのも事実。ドームで2日間やって、観客動員数は4日が2万4107人、5日は1万6300人と満員には程遠かった。

現在の新日本プロレスは、棚橋弘至選手や内藤哲也選手といった、人気のある選手のコンディションが悪く、最前線での活躍ができていない。

若手は海野選手をはじめ、将来のメインイベンター候補はいるけど、人気・実力ともにまだ成長途中。世代交代のちょうど狭間の時期で、中心となる選手がいない状況なんだよ。

俺たちが“闘魂三銃士”と呼ばれ始めた頃も、そんな時期だった。

まだ長州(力)さん、藤波(辰爾)さんは健在なんだけど、そのあとの前田(日明)さん世代の選手がごっそりと抜けてしまって、次のエース候補がいない。

そこで俺たち3人が引っ張り上げられたんだけど、当初はそこを埋めるのが大変だった。

棚橋引退興行を地上波のゴールデンで…

これは普通の会社でもよくあることだよね。

バリバリ仕事をやっていた世代が50代に入って第一線を退き始めるんだけど、そのあとの世代が少なくて、あとはキャリア10年未満の新人ばかり。経営側としては若い世代に託したいんだけど、モノになるまで時間がかかるから、その間に業績が落ちていってしまう。

新日本プロレスの社長でもある棚橋選手は、来年の1・4東京ドーム大会で選手として引退することが決まっている。

彼は引退興行を地上波のゴールデンで生放送したいと語っていたが、これが実現すれば02年5月2日以来、24年ぶりのテレビ生中継になるという。

最近はBS放送やネット配信など、プロレス中継を見る手段が増えたこともあり、地上波の生放送というのはハードルが高い。

それを乗り越えて実現するためには、棚橋選手の引退だけでなく、話題性のあるカードをどれだけ組めるかだね。

今回のドームのゲスト解説に、柔道100キロ級の金メダリストであるウルフ・アロン選手を招いていたんだけど、例えば彼がプロレス転向となったら大きな話題となるし、地上波生中継も現実味を帯びてくる。

棚橋選手もそれを狙ってるのか、記念写真を撮るときにウルフ選手の隣でぴったりと体を寄せて「離さないよ」という雰囲気だったね(笑)。

新日本プロレスだけでなく、プロレスリング・ノアも全日本プロレスも若手が台頭していて、プロレス界では世代交代が急速に進もうとしている。

今年は正念場になりそうだから、さまざまな人材を使って盛り上げていってほしいね。

「週刊実話」1月30日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。