“ラーメン大恐慌時代”に山岡家が成長を続けるワケ 飲食店の倒産件数は過去最高でもブームがブームを呼ぶ巧みな戦略

ブームがブームを呼ぶ状況に!

「山岡家はYouTubeやTikTok、ソーシャルメディアに強く、ラーメン系YouTuberやお笑い芸人のYouTubeチャンネルに頻出している。TikTokには『山岡家最強アレンジ』『夜中に1人で山岡家を食べる女子大生』などといったショート動画が大量に出回り、再生回数を稼いでいます。インフルエンサーらがこぞって山岡家を訪れて動画を撮影・投稿し、“ブームがブームを呼ぶ”状況になっている」(フードアナリスト)

実際、SNSでは常に行列が絶えないともっぱらの評判だ。

「山岡家は都心部に店舗がなく、主に郊外に出店している。しかも、基本的に24時間・年中無休なので、動画を見て“山岡家熱”が高まったら、すぐに店舗へ足を運ぶことができる」(同)

この24時間営業というのは、ラーメンの味にも関係してくるようだ。

「ラーメンチェーンには“資本系”と呼ばれる工場調理のスープを使う店も多いが、そのスープはラーメンマニアから蛇蝎のごとく嫌われている。一方、山岡家は各店舗が厨房でスープを調理しており、丸3日間煮込み続け、4日目にようやく提供できる。そのため、24時間営業でないとスープを作れない。また、豚骨を煮込む独特のニオイのせいで臭害となってしまう可能性があるため郊外に店舗を構えている」(同)

そのためか、山岡家の新卒採用サイトには「24時間営業・年中無休・店内調理・広い駐車場というコンセプトで展開しているのです」という記述も見てとれる。

「価格設定もまた巧みで、ラーメン業界で定説の“1000円の壁”を意識してか、30種類近くあるメニューのほとんどが1000円以下。オーソドックスな醤油・味噌・塩ラーメンは、それぞれ690円。低価格のため若年層が訪れやすく、SNSへ来店したと投稿し、宣伝費をかけずに名前を出してくれる」(同)

リピーターやインフルエンサーらが訪れ、絶賛するのはラーメンの味が良いからに他ならないだろう。しかし、現代は味よりもマーケティングがモノをいう世界になってしまったようだ。