森永卓郎が怒りとともに暴く! 朝日新聞1面トップで『ザイム真理教』全面否定に隠された“真実”



記事は忖度&経営優先

もう一つ、朝日新聞の致命的な間違いは「当時の大蔵省批判を振り返ると、その論理と財政の状況はいまと酷似している」としていることだ。

朝日新聞が示した政府債務残高のGDP比のグラフをみると、一見、戦前と現代の数字が似通っているように見える。

しかし、グラフはネットではなく、グロスの借金だけを描いている。

現代日本の財政は確かに借金を増やしてきたが、それ以上に増税で得た資金を政府資産の積み上げに回している。

すでに政府の資産は借金を上回っている。

だから、IMFが行っている財政の国際比較でも、日銀を含む統合政府ベースでネットの政府債務を比較すると、日本はカナダに次いで世界で2番目に財政が健全な国になっているのだ。

朝日新聞が、歴史を歪曲してまで、なぜ財務省の擁護をするのかについては、二つの可能性がある。

一つは勉強不足で、本当にこの記事のような歴史観を持っていること。もう一つは、本当のことを知ってはいるものの、財務省に忖度して、事実を歪曲していることだ。

私は後者の可能性が極めて高いと考えている。

皮肉なことに、この記事を掲載した新聞の3面には、三五館シンシャが出稿した『ザイム真理教』の広告が、三段抜きで大きく掲載されている。

もし朝日新聞が記事にあるように、『ザイム真理教』という書籍が日本を戦争へと導く不当な財務省批判をする書籍だと本気で考えているのであれば、こうした広告を掲載すべきではない。

それを堂々とやっているということは、朝日新聞が真実の追及よりも「経営」を優先していることの証左なのだ。

「週刊実話」1月30日号より