“海のミルク”カキの価格が高騰! 育成不漁が続き冬本番に大打撃

カキ(画像はAIで生成したイメージ)
本格的な寒さを迎えるこの季節。栄養満点のカキは、鍋物などにも使われることから大人気だ。

ところが、広島をはじめ全国の生産地が不漁に見舞われ、カキの価格が高騰している。

“海のミルク”と呼ばれるカキは、1個(約20グラム)の亜鉛含有量が約2.8ミリグラム。プリン体は約37ミリグラムで、生カキやカキフライにしても美味だ。

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「近年はオイスターバーも増えてカキの需要が高まっているんですが、カキ生産地の不漁が続き首都圏の店舗での昨年末の価格は100グラム400〜500円。一昨年と比べ3割ほど高くなっている」(フードライター)

昨年、生産量日本一を誇る広島産のカキは生育が遅れ、水揚げ解禁が3週間ほど遅れる異常事態に。原因は昨夏の猛暑と温暖化による海水温の上昇とされるが、漁業関係者は「海がきれいになりすぎたことも関係している」と指摘する。

「以前は水質が悪かった。近年は瀬戸内海の周辺の川の環境が良くなって、水質が大幅に改善された。その反面、プランクトンの栄養となる窒素やリンが失われて、カキが育ちにくくなっている。カキの生育には海だけでなく、川の上流の山も重要な役割を果たしているんです。山に雨が降ると土に含まれる栄養分が水と一緒に海まで運ばれるからです。昨年は雨の量が少なかったから、カキの栄養不足に拍車を掛けた」(同)

春先の水揚げに期待

広島と並んでカキの名産地として知られる宮城県・松島では、ホヤの一種であるシロボヤが大量発生。カキの殻に覆いかぶさるように付着してカキに栄養が届かないため成育不良を招き、記録的な不漁に陥っている。

そのためか、昨年12月上旬までの生産量は例年の1〜2割程度と十分なカキが確保できず、毎年11月下旬に開催していた『松島大漁かきまつり』が中止になったほどだった。

「長崎県内の平戸地区や諫早地区、三重県鳥羽市でも不漁が続いています」(同)

例年、カキは3月に旨味を増すと言われるが、早春の水揚げを期待したい。

「週刊実話」1月23日号より