ソフトバンクMLB参戦へ 孫正義会長の後ろ盾はトランプ次期大統領「NYメッツ」買収へ向けた舞台裏

狙いは「ロボット事業」拡大の旗印か?(画像はAIで生成したイメージ)
【孫正義メジャーリーグ参戦の野望(2)】
ソフトバンクグループの孫正義会長(67)が、アメリカ次期大統領のドナルド・トランプ氏(78)と会談し、15兆3500億円もの対米投資を約束した。内包する計画の一つが米大リーグ「ニューヨーク・メッツ」の買収だ――

【孫正義メジャーリーグ参戦の野望(1)】ソフトバンク孫正義会長がMLB「NYメッツ」買収へ ダイエー買収から苦節20年ついにメジャー参戦の悲願達成か

孫会長「米国経済への私の信頼は飛躍的に高まった」

トランプ氏は新年1月20日の就任式を前に12月15日、故・安倍晋三元首相の妻・昭恵氏を米フロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」に招いて夕食会を開いたが、見逃せないのが翌16日に今度は孫会長を同邸に招き、7時間にわたって会談したと評判なのだ。

 1期目の大統領就任前にも、孫会長はニューヨークの自宅「トランプタワー」を訪問しており、トランプ氏との絆の深さを改めて全世界に見せつけた。

 会談後は並んで記者会見を行い、今後4年間でソフトバンクグループはアメリカに1000億ドル(約15兆3500億円)の投資を行い、少なくとも10万人の雇用を創出すると発表した。

 またその際、孫会長は「トランプ氏が大統領選で勝利したことで、米国経済への私の信頼は飛躍的に高まった」と話し、1期目の米投資が500億ドル(5兆7000億円=当時)だったことを踏まえて「今回の投資はその2倍。私の信頼の度合いを示している」と続けた。

 トランプ氏も「この歴史的投資は信頼の証しであり、これでアメリカの成長は確かなものになる」と応じたが、そこで気になるのは、15兆円超の投資金を米国でどのように運用するのかだ。

 「孫さんは今年6月『10年後には人間より1万倍賢い人工超知能(ASI)が実現する』と発表した。生成AIをソフトバンクが得意とするロボット技術と連携し、人間に代わってショッピングや掃除、医療補助など多様な活動ができる時代になるというのです。そのため、AI関連の投資に特化して資金を注ぎ込むのではないかとみられている」(コンサル会社の専門家)

メッツファンには親日家も多数

AI開発は、グーグルなど巨大テック企業群「GAFA」も力を入れており、今以上に米国内で知名度を高める必要がある。

その旗印に期待したのが、フアン・ソトの獲得で、今オフの話題をさらったニューヨーク・メッツ。OBに野茂英雄氏、千葉ロッテの吉井理人監督、日本ハムファイタ―ズの新庄剛志監督、楽天の石井一久シニアディレクター、松坂大輔氏、松井稼頭央氏などがおり、ファンに親日家が多いことも魅力だ。

「大谷翔平のドジャースと超名門ヤンキースは絶対に球団を手放さない。そう考えれば、メッツ買収は最良の選択。その上、生粋のニューヨーカーであるトランプ次期大統領のお墨付きという“最強のカード”も手札に持っているのです」(米メディア関係者)

孫会長はNPBのスター選手がケタ違いの高額契約でメジャーに続々転身する現実を前に、持論の日米王者による「リアルワールドシリーズ」構想を撤回。ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーが掲げる「(退任する)’29年1月までに2球団拡大」構想に乗って新規球団でのメジャー参戦を目指していた。

ところが、畏友トランプ氏の大統領復帰とメッツ買収の機会が重なり、今まさに20年来の夢がかなう状況がめぐってきつつある。

日米で世界戦略を練る孫会長からは、しばらく目が離せない状態が続きそうだ。

「週刊実話」1月9・16日号より一部内容を変更