「分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が」ヒールとして愛された“ナベツネ”渡邉恒雄さんの功罪



法廷でも“ナベツネ節”は健在!

「渡辺さんは当時、選手会がオーナー陣との面会を要望していることについて、『分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が』とピシャリ。さすがにまずいと感じたのか、即座に『たかがと言っても立派な選手もいるけどね』としたものの、日本中から大バッシングを浴びました。この発言に世論が猛反発したことで、1リーグ制を主張するオーナー陣は、2リーグ制維持を求める選手会への追従を余儀なくされる、いわば流れを変えた発言でした」(スポーツジャーナリスト)

同年にはドラフト選手への裏金問題でオーナーを引責辞任したが、1年足らずで巨人球団会長に復帰。11年には「巨人軍を私物化した」として、当時の清武英利球団代表からコーチ人事への介入などを「重大なコンプライアンス違反」として告発されたが、「10人の最高級の弁護士を用意している」「俺は法廷闘争に負けたことがない」などと応戦した。

「同裁判でも、渡辺さんは『アンタがねぇ…』と清武氏の弁護士を指さしたほか、『僕と読売は一体ですから』とぶっちゃけるなど、“ナベツネ”節は健在。徹頭徹尾、周りに媚びず己を貫く存在でした」(同)

その後は度々“死亡説”も流れたが、18年には原辰徳監督の殿堂入りを祝うパーティーで「死亡説が流されたから来たんだよ」と“ヒールキャラ”らしいユーモアを見せた。

ネット上には、訃報にあたり
《悪役として大物感あってよかったわ キャラ立ちがしっかりしてたわ》
《憎めないキャラではあった》
《色々言われてたけど間違いなくプロ野球を今の地位に押し上げた1人ではある》
といった声が溢れている。

巨人軍創立90周年の今年、「ナベツネ」の逝去は、時代の変化をまざまざと印象付けるものだろう。