「なんでもすぐに覚えちゃうの」交際相手の男子生徒に試験問題を漏洩した高校女教師の罪と罰

 

B君の成績が良すぎて不審感が増幅

性的なことに関心が高い年齢であり、母親を亡くして母性的なものに飢えていたであろうB君はすぐにA子に籠絡されたようだった。

「A子の方もかなり舞い上がっていました。自分がA君に『性の手ほどき』をしたことを自慢気に語るんです。これがただ年下というだけの彼氏の話だったら、まだスルーできましたけど、相手は未成年でしかも教え子です。私だって毎日顔を合わせる生徒なんです。その子のことを『賢い子だから、なんでもすぐに覚えちゃうの』なんて得意げに話されてもおぞましいだけです」

女性教師とのただれた関係にのめり込むようになったB君は、遅刻や欠席が増えて授業中もぼんやりすることが多くなり、不規則な生活を送っているのが明らかに見てとれたというが、不思議と成績は良かったという。

「怪しんだ私はさりげなくA子にカマをかけたんです。そうしたらA子が『試験問題をB君に教えている』と白状しました」

驚いたことにA子は自分の担当科目だけでなく、他の教科の試験問題も入手して、横流ししていたらしい。

「うちの学校では、出題の重複や公正さを学年の教員全体でチェックするため、試験問題をパソコンで共有できるようになっているんです。これをA子は悪用していました」

“こんな不正がいつまでも続くわけがない。いつかきっとバレるに決まっている”

小宮先生がそう予想した通り、教職員の間でB君の成績に対する不審が高まり、ある先生の発案でウソの試験問題を「ダミー」のファイルに保存したところ、B君の成績がガタ落ちに。

同時に校内でA子とB君が「問題が違う」などと揉めている姿が複数の生徒に目撃され、A子の悪事が白日の下にさらされることになった。

間もなくA子は懲戒免職となり、B君は退学処分になる予定だという。

「高下駄を履かされて調子に乗ったB君が自身の努力を怠ったことで周囲の不審を招き、それが事件の発覚に繋がったことは間違いありません。A子は学生であるB君の学習意欲だけでなく、将来まで奪ったんです。私は同じ教員としてA子のやったことは教師の風上にも置けないと思っています」

こうした色と欲の不祥事は、まだまだ教育現場に転がっていそうだ。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。