目指したのは「安くて、うまくて、酒が濃い」オヤジ泣かせの素晴らしい店、学芸大学『さいとう屋』【男がほれる酒と肴「ホの字酒場」第11回】

週1で新作メニューが登場。ホッピー類に焼酎が100mlも入る酒飲みの天国。
若者に人気の街、学芸大学にもオヤジ泣かせの素晴らしい店がある。

駅から徒歩1分。狭い階段を上り2階のドアを開けると、カウンターの中でせわしなく動き回る坊主頭。長身でこわもてだから一瞬ひるむが、勇気を出してカウンターに座る。

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店主が差し出した冷たいおしぼりからせっけんの優しい香りがした時、きっといい店なんだろうと思った。

メニューはどれもお手頃価格で、ボリュームもある。一人2品も頼めばお腹いっぱい。
野菜がたくさん入ったスパイシーなカレーの“アタマ”とキンミヤの相性は抜群。「おつまみカレー」380円(チューハイは420円)
「だから、酒を飲まない客には文句を言うね」と店主は笑う。

脱サラを機に、妻と二人三脚で店を始めて16年。昔から飲み歩くのが好きで、安くてうまくて酒が濃い店を目指した。
厨房を担当する奥さんは研究熱心。
「そういう店が嫌いな酒飲みはいないでしょ」

ホワイトボード下段に並ぶ定番の中から、おすすめだという納豆キャベツを頼む。見た目はシンプルだがこれがうまい。
ゴマの風味が効いた納豆キャベツ。見た目からは想像できない深い味わい(450円)
「みんな家に帰ってまねするんだよ。聞かれたらレシピも教えちゃうから」

10種類以上を乗せた薬味やっこは酒のアテとして優秀(450円)
19時にはいつも満席だが、どれだけ忙しくても厨房にいる奥さんには下の名前で優しく呼び掛ける。この店の居心地が良い理由が分かった気がした。

『さいとう屋』
東京都目黒区鷹番3-1-4
03-3760-2824
営業時間17時~21時(L.O.)21時30分閉店、土・日・祝は16時~
休み:月・火 

撮影・文/キンマサタカ
「週刊実話」9月26日号より