3回目の緊急事態宣言で、東京都が管轄する豊洲市場(江東区)の仲卸業者は死活問題に直面している。
「仲卸業者は前年比の売上が50%減であれば給付金がもらえます。しかし、50%減は倒産する数値ですよ。市場業者は2回目の緊急事態宣言が出た段階で限界だった。3回目は5月31日まで延長…。今年1月には1913(大正2)年に創業した惣菜仲卸『山三秋山』の破産が決定した。他にも弱小の仲卸業者が何軒か倒産しています。せめて飲食店への酒類提供を認めないと、豊洲の仲卸業者は壊滅しますよ」(水産仲卸業者)
4月に緊急事態宣言が出された4都府県の酒類を提供する飲食店は、「休業か営業時間短縮か」の選択を迫られ、大半は「酒なしでは客が来ない」として休業した。
「飲食店の休業と時短は大打撃です」(同・業者)
「大和堆」に押し寄せる中国の密漁船
国内で取引される魚介類の約4分の1が集まるとされる豊洲市場は、「世界最大級のフィッシュマーケット」といわれている。もっとも、昨年からのコロナ禍に加え、大衆魚であるアジ、イカ、サンマなどの不漁も重なったことにより、仲卸業者は「もはや限界!」と悲鳴を上げていた。
「不漁の原因の一つは、日本海の好漁場〝大和堆〟などへ中国漁船が大量に押しかけ、違法操業による乱獲を繰り返したことが挙げられます」(漁業情報センター関係者)
アメリカからも批判を浴びている中国漁船の違法操業。2月に中国が「北太平洋漁業委員会」のサンマ漁獲4割減に同意したことで、同公海での密漁はできなくなる。
「その分、国際的監視の目が届かない大和堆への中国の違法操業は、ますます活発化するでしょう」(同・関係者)
中国漁船違法操業による不漁が今後も予想される中、先行きがまったく不透明な緊急事態宣言の延長…。
「コロナ変異株が急増しているから宣言延長はやむを得ないのですが、さすがに我々の忍耐は延長できそうにありません」(前出・水産仲卸業者)
〝禁酒〟にも限界はある。
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