「年収103万円の壁」の攻防戦裏で厚労省が画策! 年金制度における「月収50万円の壁」の引き上げを森永卓郎が緊急暴露



すべては「マイルド官僚」の天下りのため

私がずっと批判してきたスーパーキャリア官僚は、天下り先で秘書と個室と専用車と交際費と海外旅行に加えて、年収2000万円といった高給を食んでいる。

しかし、彼らの人数は少ない。公務員全体の0.1%にも満たないだろう。

一方で、「天下り」とは言えないくらいの処遇で、公務の関連団体や利害関係のある地元企業に再就職しているマイルド官僚は、人数では、スーパーキャリア官僚の数百倍はいる。

現在、公務員は定年延長が進められていて、2031年には定年年齢が65歳になる。

そこからマイルド官僚は、マイルド天下りに出る。

彼らの再就職には役所の無言の圧力がかかっているから、マイルド官僚は民間労働者と比べて高い報酬を得ることができる。

つまり、月収50万円の壁にぶつかってしまうのだ。

しかも、関連団体に再就職する場合などは、65歳の時点で業務委託契約に切り替えるといった柔軟な人事対応が難しい。

50万円の壁の引き上げは、そうしたマイルド官僚を救うことを最優先の目標にしているのではないか。

私は、在職老齢年金制度を廃止すべきだと思う。

ずっと年金保険料を支払ってきて、一銭も給付を受けられないのは、あまりに理不尽だからだ。

制度撤廃には数千億の財源が必要とされるが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は246兆円もの積立金を持っているから、それを活用すべきなのだ。

「週刊実話」12月26日号より