人手不足の救済対策「リスキリング」が日本で浸透しない意外なワケ

画像はAIで生成したイメージ
日本は近年深刻な人手不足に陥っている。議論を呼ぶ“103万円の壁”の撤廃なども、背景には人手不足がある。

その人手不足を解消するための策として最近話題なのが「リスキリング」だ。

Re+スキリング、いわゆる再び新しい技術・スキルを身につけること。人材の労働性を高めることを目的としているため、社員の年齢や性別を問わず対応でき、人手不足解消に対する効果や訴求力が期待されている。

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政府の「骨太の方針」に明記され岸田前首相が2022年に5年間で1兆円投じると表明したことで、多くの助成金なども準備され、その流れは現在も続く。

一方で11月、帝国データバンクが各企業に行ったリスキリングの取り組み状況などについてのアンケート結果を公表。それによるとリスキリングに「取り組んでいる」と回答した企業は8.9%にとどまり、「(今後、意欲的に)取り組みたいと思う」の17.2%を含む割合は26.1%という結果だった。

「取り組んでいない」は46.1%と半数近くが消極的で現時点で世間のリスキリングへの取り組みが広がっていない現状が明らかとなった。

「灰になるまで働きましょう」

しかし、これだけ国が音頭を取っても消極的な現実をみると、企業やそこに勤める社員らにリスキングに対する拒否反応のようなものがあるのではないか。

そもそも、国がイメージしているような定年間近の社員が、ゼロから新しい仕事を覚えて挑戦するという理想的なリスキリングは、よほどストイックな人間でなければ成り立たない。

かつての「人生百年時代」という言葉は定年まで勤め上げ、豊かな第二の人生を謳歌するイメージが強かったが、それも今や昔。生活に困窮した高齢者の就業率が増え続けているだけに、リスキングには「新たなスキルを身につけて、灰になるまで働きましょう」という暗いイメージが付きまとっているのかも。 

「週刊実話」12月19日号より一部内容を変更