ヒマラヤで“女ひとり”1000キロ超の「バイク旅」にチャレンジ! 鬱を振り切り前向きに生きる原動力に

『女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る。』里中はるか
◆『女ひとり、インドのヒマラヤでバイクに乗る。』KADOKAWA/1600円(本体価格)

――インドをバイクで走ろうとしたきっかけは?

里中「鬱っぽい状態を脱したかったことがきっかけです。インドのヒマラヤ山脈西端に位置する『ラダック』は、欧米やインドのライダーにとっての聖地で、バイクに乗り始めた4年前からの憧れの地でした。旅をした2022年夏は、ちょうどコロナ禍に疲れ、33歳になってこの先の生き方に悩み、大好きなはずの旅やバイクも楽しいのか分からなくなっていました。思い詰めた頭で、ラダックに行けば、何かしら現状を変えられるかもしれないと考えました」

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――ラダックはなぜ「ライダーの聖地」と呼ばれているのですか?

里中「ヒマラヤの雄大な山岳地帯をバイクで思い切り走れる上に、レンタルバイクやルートが充実しているためです。富士山より高い道を、視界に入りきらないくらい大きな山々に囲まれて走るのは、とにかく楽しいです。チベット仏教僧院を巡り、人々の信仰心を感じることができる点も魅力ですね。さまざまな民族が住んでいますが、皆温かく優しい方ばかり。日が暮れてしまい駆け込んだ村でホームステイしたのは良い思い出です」

海外ツーリングのヒントも紹介

――ツーリング中に困ったことや、ハプニングなどはありましたか?

里中「高山病とひどい下痢がかなりつらかったですね。3週間で9キロ痩せてしまったほどでした。また、ロイヤルエンフィールドというインドメーカーのバイクを3種類レンタルしましたが、最初に借りたお店は整備不良でなかなかエンジンがかからず、ヒヤリとしたことも。でも出会った方々に助けてもらい、12日間1000キロ超のツーリングを無事故、無転倒で無事遂行できました」

――インドをバイクで走ってみたいという人も多いと思います。注意点やアドバイスをお願いします。

里中「北海道や九州を走り回っているような方なら、楽しめると思います。事前にオフロードを走る練習をしておくとよいと思います。私は周囲の評価ばかり気にする会社生活から一転、険しい自然や自分自身と対峙し、人々の優しさに触れ、前向きに日々を生きる原動力を得た気がします。本書ではラダックでのレンタルバイクの方法や旅の持ち物(写真とイラストで11ページにわたり解説)、ドイツやニュージーランド、海外ツーリングのヒントなども紹介しているので、ぜひ参考にしてください」

聞き手/程原ケン

「週刊実話」12月19日号より

里中はるか(さとなか・はるか)

1988年神奈川県生まれ。鬱で2年間の休職後、メンタルヘルスに興味を持ち、2020年大学に編入し心理学を学ぶ。22年卒業。同年“ライダーの聖地”北インドのラダックでのバイク旅を敢行。愛車はBMW F800GS。