蝶野正洋が指摘する米大統領選挙&兵庫県知事選における「偏向報道」のいやらしさ

蝶野正洋(C)週刊実話Web
アメリカ大統領選と兵庫の県知事選。たまたま同時期に行われたまったくスケールの違う選挙なんだけど、マスコミの偏った報道姿勢がよく似ていたことで物議を醸していた。

選挙前は、トランプ次期大統領と斎藤元彦知事をおとしめるような情報ばかり。そして事前予測では票数は拮抗していて接戦になるといわれていたけど、開票が始まるとすぐに当確が出て、結果的に大差での勝利となった。

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この流れを見ていると、マスコミ、特にテレビの報道番組やワイドショーは、自分たちの思惑を込めた、公平とは言えない報道をしていたと思われても仕方がないね。

トランプさんはヒールのような扱いで、横暴で何をするか分からない危険な男というイメージ。対する民主党のハリス氏も失言や失策があったのに、それはあまり伝えていなかった。

斎藤知事のほうは日頃から横暴でパワハラを繰り返し、すぐにおねだりするような人間像を繰り返し伝えられて、予算削減や進めていた改革などの“実績”がほとんど報道されなかった。

でも、それが逆効果だったんだろうね。百条委員会なんて、みんなで斎藤知事を吊し上げて、いじめているようにしか見えなかったから、視聴者も「これはなんかおかしいぞ」と感じたのかもしれない。

この背景には、既得権益を握っていた側が情報工作をしていた部分があったと思う。

例えば、斎藤知事が県庁舎の建て替え計画を潰したという報道があった。

これも独断専行なパワハラという見方ができるけど、建設業者や一部の議員、役所の担当者たちは不利益を被ったわけだから、反目に回って斎藤知事を追い落とそうとしたのかもしれない。

変化を恐れず常識を壊して進むべき

トランプさんも政府の中枢に自分の身内の人材をどんどん入れ始めているけど、それで追い出される人間もいるだろうし、今までの利益分配システムが崩れてしまうことを嫌う勢力から、大反発を受けることは間違いない。

アメリカも貧富の差が大きくなって、それが固定化してしまった。これは昔のヨーロッパと変わらない。

それで金融と経済を回すために戦争が起きるのは、第一次大戦の頃から100年以上続いている流れなんだよ。

でも、トランプさんはそれをやめようとしている。

他国の争いに首を突っ込んで、武器を売ってもうけよう、というビジネスモデルは割に合わなくなってきている。

戦争を永遠に続けても無駄だというトランプさんの考えのほうが、俺は普通だと思うよ。

トランプさんはパフォーマンスが得意だけど、実は冷静だと思うんだよね。

特に今回は2回目の大統領なので、周りの動かし方とか、物事の進め方がかなり分かってきていると思う。

新人レスラーも最初は自分のやりたいことだけをアピールして空回りしがちだけど、試合の駆け引きや組み立て方が分かってくると、勝率も上がってくる。

2期目のトランプさんは、わりと期待できるんじゃないかな。

人間性は完璧ではないかもしれないけど、既存の組織や常識をぶっ壊すようなリーダーが出てくるのはいいことだと思う。

それで何かを失ってしまう人たちは戦々恐々としてるかもしれないけど、変化を恐れずに時代を前に進めるべきだね。

「週刊実話」12月19日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。