“酒飲みの聖地”で味合う絶品おでん 立石の飲み屋巡礼には欠かせない名店『二毛作』【男がほれる酒と肴「ホの字酒場」第9回】

練り物系はもちろん、丸ごと入ったトマトなど変わり種も充実。
殺人的な暑さの中、電車に乗って向かったのは京成立石。昼から飲めるいい店が充実しており、酒飲みからは「聖地」と呼ばれることもある。

線路沿いを歩くと「味自慢」と書かれたちょうちんが見える。

「もともとうちは丸忠蒲鉾店というおでんのタネを扱う店で、その隣でおでんで飲める居酒屋を始めたんです」

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だから『二毛作』。なんともいいネーミングだ。
物腰の柔らかい店主。立石の飲み屋巡礼には欠かせない名店だ。
汗を拭きながら腰を下ろし、最初の一杯はビールと思ったが、店主に勧められたにごり酒のソーダ割りを頼んだら、これがうまい。日本酒の味わいを残しつつもさっぱりいけるから、どんなつまみにも合いそうだ。
好きなおでんを選んで盛り合わせにできる。写真は大根、ショウガ天、玉子、鶏つくねで1,020円。『生酛のどぶ』のソーダ割は780円
最初に頼んだ水ナスの漬物とおでんの盛り合わせをつまみながら、手書きのメニューを眺める。高知県の宿毛市直送と大きく書かれたカンパチの刺し身が目に付いた。
水ナスの漬物(530円)があれば何杯でも飲めてしまう。
「刺し身と一緒に熱かんなんていかがでしょう」

身のぎゅっと引き締まった新鮮な魚と、熱かんの相性が悪いわけがない。
シンカメはかんをつけることで香りが際立つ。
時計を見るとまだ昼の3時。クーラーの効いた店から、外をガタゴトと走る電車を眺める。これが大人の夏休みだ。
二毛作
『二毛作』
東京都葛飾区立石1-14-4
03-3694-2039
営業時間14時~22時、12時~20時(土)、12時~21時(日)
※月曜は17時~23時。
スタッフ1人の営業で総菜メニューが中心となる。

撮影・文/キンマサタカ
「週刊実話」9月12日号より