温泉旅館で女子高生が性被害に…ベテラン仲居が目撃した悪徳警官の大罪【危なすぎるブラック企業の闇3】

散々もてあそんでポイ捨て

「30分くらいたった頃ですかね。宴会場のあるフロアの端っこにある、人気のないトイレからA子ちゃんとBが連れ立って出て来たんです。それを見た時にイヤな予感がしたのでA子ちゃんに確認したら『トイレで無理やりされた』と言っていました。私は『訴えた方がいい!』とつい口にしてしまったんですが、A子ちゃんは『そんなことしたら逆に私が捕まる』と泣き笑い。Bは口止め料代わりにA子ちゃんを言いなりにしたんです。A子ちゃんは『自分が捕まるのもイヤだけど、旅館とか派遣事務所に迷惑をかけたくなかった』と言っていました。17歳の女の子の健気さにつけこむなんて鬼畜ですよ」

「犬に噛まれたとでも思って忘れなさい」と康子さんはアドバイスをしたそうだが、実はA子ちゃんの性被害はこれだけでは終わらなかった。

「Bは事件後、コンパニオン事務所を辞め、普通のアルバイトをしていたA子ちゃんを脅迫しながら何度も関係を持っていたみたいです。時々お小遣いももらっていたみたいで、コンパニオン時代の半分近い時給で働いていたA子ちゃんにとってはそれも拒否できなかった理由かもしれません。本人が納得しているなら、もう外野が口を挟むことではないですし、たまたま私が現場を見てしまったことでA子ちゃんと交流するようになっただけで、元はまったく無関係の他人ですからね」

そう考えた康子さんはA子さんとの連絡を絶ったそうだが、半年ほど過ぎた頃に街中で偶然再会したという。

「無視する理由もないなと思ってお茶したんですよ。そうしたら、A子ちゃんから『Bに捨てられた』と打ち明けられました。『もう飽きた』と言われたそうです。ひどい話ですよね。弱みに付け込んで散々もてあそんだらポイですよ。私としては『そんなクソ野郎と縁が切れて良かったじゃない』という気持ちだったんですが、A子ちゃんがどことなく寂しそうだったので、もしかしてBに情が移ってたのかな、と思いました。だとしたら、余計罪深いですよね」

現役警察官による性加害事件は珍しくないが、このように表沙汰にならなかったケースもあるだけに、報道されているものは氷山の一角と言えるだろう。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。