出生数70万人割れで行政サービス、社会保障も崩壊へ「静かなる有事」が国難をもたらすタイムリミット

画像はAIで生成したイメージ
2024年に生まれた子供の数は過去最少を更新し、初めて70万人を割り込む公算が大きくなった。

少子化に歯止めが掛からない実態が改めて浮き彫りになりそうだ。

このままでは人口減が一段と進み、日本の活力は奪われるばかり。「静かなる有事」で日本はどうなってしまうのか。

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厚生労働省が発表した人口動態統計(概数)によると、2024年上半期(1〜6月)に生まれた子供の数は外国人を除き32万9998人で、前年同期比の6.3%減だった。

全国紙の厚労省担当記者の話。

「昨年の出生数は確定数で72万7288人でした。上半期のペースでいけば今年は間違いなく70万人を切ります。合計特殊出生率も昨年は1.20で過去最低でした。これも今年、最低を更新するでしょう。東京は0.99ですでに1を下回っています。全国的に1を割るのも時間の問題です」

人口減で各業界では人手不足が顕著になっており、消費者が少なくなることで、商業圏を維持できない地域が相次ぐことが予想される。

行政サービスを維持できなくなる自治体も増えてきそうで、地方では特定の範囲内に集まり居住する「集住」を本格的に検討すべき時期を迎えている。

異次元の少子化対策は効果なし!

また、社会の支え手となる現役世代の減少で、医療や介護、年金といった社会保障制度も打撃を受けている。

「岸田政権では次元の異なる少子化対策と称して『こども未来戦略』を策定しましたが、児童手当や育児休業給付の拡充などの子育て支援策が中心で、これでは効果は期待できません」(政治部デスク)

日本の場合、婚外子が少ないため、結婚する夫婦が増えなければ少子化傾向を反転させるのは難しい。婚姻数は昨年47万4717組で戦後初めて50万組を下回った。

ちなみに今年上半期は0.8%増の24万593組だったが、この程度増えただけでは焼け石に水だ。

石破茂首相は自民党の政治とカネをめぐる問題と政権運営に追われていて、少子化対策に言及することはほとんどない。

静かなる有事は、いずれ国の屋台骨を揺るがすことになる。

「週刊実話」12月5・12日号より