『カメ止め』の監督が贈る『アングリースクワッド公務員と7人の詐欺師』は大胆不敵な税金徴収シネマ【やくみつるのシネマ小言主義第267回】
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息もつかせぬスピード感と予想を裏切る大どんでん返しが得意の上田監督が「今度は何を仕掛けてくるんだ」と期待のハードルが上がりまくりました。
しかも、これまでの作品で起用していた無名俳優ではなく、初めて著名俳優ばかりで作ったというのですから、どれだけダイナミックな展開が待っているのかと、いやがおうにもハードルが…。
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内野聖陽演じるマジメ税務署員と岡田将生ら7人の詐欺師集団《アングリースクワッド》が手を組み、脱税王の小澤征悦を騙して未納の10億円をきっちり納税させるというストーリー。
ネタバレにならないように気をつけて書きますが、最後に大金がすり替わる仕掛けは大胆不敵で、なるほど、そうきたかとカタルシスを感じます。
ただ、もっとも緊迫感が出る所だと思われる「高級クラブのビリヤード場」で、内野聖陽が裏の顔である「地面師」になりきり、脱税王をまんまと信用させる過程が思いのほか凡庸だった。
それにしても、何に一番驚いたかというと、内野聖陽の新キャラ。チラシに入った写真を見ても誰だか分からないくらい弱気な公務員になりきっています。
先日の本コーナー『八犬伝』の回で「演技がワンパターン」などと書いてしまいましたが、さすがは文学座出身。人物像の変わりっぷりに「なぁんだ、できるじゃない」と失礼ながら思わず心の中で呟きました。
『地面師たち』との相乗効果
Netflixで放送され、今年とかく話題となった『地面師たち』を自分はまだ見ていないのですが、偶然にも詐欺の設定として被ったことは誤算だったのか、それとも相乗効果を生み出したのか、監督に真相を聞いてみたいです。
さて、税務署。自分のように個人で商売をやっていると、定期的に税務調査が入ります。
うちに関してはどこをどうほじくられたところで埃も何も出ないのですが、他所の質問を受けたことはあります。
例えば「この力士にいくらご祝儀を包まれましたか」など。税務署員っていうのはいつもどこかに目を光らせているもんですねぇ。
国税と脱税者の戦いを描いた名作としては、伊丹十三監督の『マルサの女』があります。
庶民にとって胸がすくような社会派でありながら、笑いも取る。
次は、上田監督の緻密な脚本力で「社会問題にメスを入れつつ、笑わせる」伊丹監督ポジションを狙っていただきたいものです。
アングリースクワッド公務員と7人の詐欺師
監督:上田慎一郎
脚本:上田慎一郎、岩下悠子
出演:内野聖陽、岡田将生、川栄李奈、森川葵、後藤剛範、上川周作、鈴木聖奈/真矢ミキ、皆川猿時、神野三鈴、吹越満/小澤征悦
配給:NAKACHIKA PICTURES JR西日本コミュニケーションズ 11月22日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
マジメな税務署職員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)の詐欺に引っかかり、大金を奪われてしまう。熊沢は親友の刑事の手を借りて探し出すが、氷室は熊沢に対し、ある権力者が脱税した10億円を自らが詐欺によって徴収することを条件に、見逃してくれるよう頼む。犯罪者と手を組むことに葛藤する熊沢だが、ある復讐を果たすため、氷室の提案を受け入れる。2人はさまざまなクセ者を集めて詐欺師集団「アングリースクワッド」を結成し、税金徴収のミッションに挑む。
「週刊実話」12月5・12日号より
やくみつる
漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。
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