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南米先住民「ヤノマミ族」と4日間過ごした思い出~原田龍二の『不思議な世界』

南米先住民「ヤノマミ族」と4日間過ごした思い出~原田龍二の『不思議な世界』
原田龍二の『不思議な世界』 (C)週刊実話Web 

南米の先住民族・ヤノマミ族へ会いに行くことになった僕。ジャングルで裸族の彼らに出会うと、僕に向けられたのは複数の弓矢でした。この危機を、どうすれば乗り切れるのか。

まず「一緒に生活したい。あなたたちに興味があるんです」と、通訳を通して必死に気持ちを伝えました。さらに持参した「マチェーテ」というお土産を、酋長に渡します。これは藪を突き進むために木を伐採する、大きなナイフです。差し上げたところ、酋長はとても喜んでくださって。こちらの意志が伝わったのか、弓矢は下ろされ、一緒に生活することが許されたのです。

僕は4日間、ヤノマミ族とともに過ごしました。彼らの主食は、基本的にバナナ。青い状態でたき火に突っ込み、焼きバナナにしたり。他には狩猟採集した獣・鳥・虫を食べていました。

ヤノマミ族は、「ジョッポ」と言われる呪術的な儀式を行います。マジックパウダー(粉の元は、ある木の樹皮の裏にある樹液を乾燥させたものだそうです)を木筒の先端に入れ、それをくわえて相手の鼻先に吹き付けるのです。するとその粉が鼻の粘膜を通って幻覚作用を起こし、人によっては動物だったり、様々な何かが宿るようです。不思議な儀式でしたが、嗜好品の一種でもあり、何よりも病気を治す効果があるのだとか。

「お前はヤノマミ族戦士の生まれ変わりだ」

実は僕、酋長から「お前はヤノマミ族と縁がある」と言われたんです。ヤノマミ族の成り立ちは、3人の戦士が月に向かって矢を放ち、2人は失敗したものの、3人目の矢が満月に刺さり、滴って地上に落ちた血で生まれたという言い伝えがあるのだとか。その3人目の戦士の生まれ変わりだと、酋長は言うのです。だからここに残れ、帰るなと。

もしかしたら僕が楽しんでいたことが、伝わったのかもしれません。夜になるとスタッフはベースキャンプに戻り、僕だけが残るのですが、そこからたくさんの人たちが周りに集まってきます。隊列を組んで踊り出したり、みんな泣き出したこともありました。翌日、みんなが泣いていた理由を通訳に聞いてもらったところ、ある家の子どもが亡くなり、日本で言う四十九日的な日だったとか。その弔いで、全員で号泣したのです。そうやって、喜怒哀楽を共有し合う部族でした。

僕が旅立つ最終日、彼らはむせび泣いたり押し黙ったりして、悲しみを表現していました。僕は一人一人に別れを告げ、帰国の途に。大きな経験をした僕がやるべきことは、日本で「ヤノマミ」と口にして、少しでも多くの人に伝えることだと感じています。これが僕の使命ではないかと、どこか思っているんですよね。実際、「お前が自分の国に帰ったら、我々のことを伝えてくれ」と彼らにも言われていますし。今も僕の部屋には、ヤノマミ族の大きな絵が飾られています。20年以上経った今でも、色あせない思い出なのです。

原田龍二
1970年生まれ。ドラマやバラエティーで活躍する一方、芸能界きってのミステリー好きとして知られ、近著に『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』がある。現在、『バラいろダンディ』(MX)で金曜MCを担当。YouTubeチャンネル『ニンゲンTV』を配信中。

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