横綱・照ノ富士の引退に現実味!? 九州場所“入場券15日間完売”も相撲協会が素直に喜べないワケ

両国国技館(C)週刊実話Web
11月10日から福岡市の福岡国際センターで始まった大相撲九州場所は、大盛況。初日を迎える1週間前に、15日間の入場券がすべて完売との発表があった。

これで今年の6場所、90日間、すべて完売ということになる。

こんな盛況ぶりは若貴フィーバーに沸いた1996年以来、実に28年ぶりのことだ。

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この事態に、今年から九州場所の総責任者=担当部長になった浅香山親方(元大関魁皇)は「本当にありがたい。最近は若手に元気のいい力士がおり、面白い相撲が多い。いままで相撲を見ていた方に加え、見ていなかった方にも知ってもらえたのでは」と目を細めていたが、それも無理もない話といえる。

つい2、3年前はコロナ禍で館内には閑古鳥が鳴いていたからだが、それを跳ね除け、相撲ブームを再燃させた最大の功労者が新大関の大の里(24)であることは間違いないだろう。

「今年1月の初場所で入幕を果たした大の里は、すでに優勝2回、三賞も先場所までに5場所連続で獲得し、史上最速で大関に昇進したが、この九州場所で新大関優勝を成し遂げれば、史上9人目、白鵬が2006年夏場所で優勝して以来、18年ぶりの快挙となる。また、そうなれば大関2場所で横綱昇進も視野に入ってくるため、九州場所の入場券が完売するほどの人気を呼んでいるのです」(大相撲担当記者)

ただ、その大の里は8日目までの成績が6勝2敗。7勝1敗が4人もいるだけに、がぜん優勝の行方が注目されているが、これに加えて一方では別の力士たちも相撲ファンを沸かせているのである。

「それが1敗を守り奮闘している大関琴桜と豊昇龍。先場所では大の里に大きく水を開けられ評価が低迷気味だったが、『打倒大の里』を標榜するこの2大関の意地の相撲にも注目が集まっているのです」(同)

横綱引退が現実化か

もっとも、こうした取り組みが目を引く一方で気になるのは、今場所も続く横綱不在の状況だ。

1人横綱の照ノ富士(32)は九州場所でも初日から休場した。これで2場所連続、横綱在位20場所で12場所目だ。

持病の糖尿病に加え、両膝の変形性関節症で、先場所前からおよそ2カ月、ただの1番も稽古ができなかったのだから「出て来い」と言う方が土台無理。

これで照ノ富士は一昨年、昨年と九州場所を全休し、九州の相撲ファンは3年連続で横綱の土俵入りを見られなくなった。

別の相撲担当記者がこう語る。

「今場所では再入幕を果たした同じ伊勢ケ浜の尊富士が、甘い立ち合いで黒星を喫した2日目の取組後に横綱(照ノ富士)から『何で当たらないんだ』と電話があったと告白。これで気合が入り中日を6勝2敗で折り返したが、稽古ができない本人は尊富士以上に苦しんでいるはず。ファンや相撲関係者からはその進退が案じられているのです」

気になる今後について、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「(次の)初場所はまず出る。それに向けてやっていく」と話したが、それがままならなければ引退という事態も現実味を帯び始める。

大の里の記録には期待がかかるが、相撲協会は入場券が売れたくらいでは喜んでいられない“爆弾”を抱えているのだ。

「週刊実話」11月28日号より一部内容を変更