シンママ家庭から都内一等地に住むセレブ妻へ…貧困女子がつかんだ「年の差婚」という成り上がり術



「守ってあげたい」

そんな朝香さんに対して、拓郎さんの方はというと「不安そうに目を閉じて、身体を丸めている朝香の姿に父性本能とは違う意味の保護欲というか『守ってあげたい』という気持ちが沸き上がるのを感じた」そうで、互いに特別な感情が芽生えたふたりはごく自然に交際を始め、高校の卒業式に拓郎さんが朝香さんにプロポーズしたという。

「びっくりしましたよ。だって、42歳の主人が19歳の私と結婚を考えるなんて、普通思わないじゃないですか? それに、確かに付き合ってはいましたけど、ずっとプラトニックな関係だったんですよ?」

これに対し、拓郎さんは「最初から彼女のことは女性として意識していたけど、ロリコンだと思われたくなかったし、大切にしたいという気持ちが強くて手を出せなかった」という。

「10代から必死に仕事をして、20代で独立してからも仕事一筋だった主人は私と知り合うまで、女性と『ちゃんと付き合ったこと』がなかったそうです。主人は若い頃できなかった恋愛がしたくて、年の離れた私を選んだんじゃないかと思っています。私もそれまで無縁だった『父親の愛情』を主人に求めていたのかもしれないですね」

「相手の愛情を独占したい」という思いから、これまで子供を持たなかった拓郎さんと朝香さんだが、最近妊活を始めたという。

「10年間ふたりの時間を満喫したし、主人の会社の後継者問題もあるし、お互い年齢的にももうこれ以上は先送りにできないと話し合ったんです」

食生活を見直したり、ジムに通ったりしながら妊活に励む拓郎さんと朝香さんに1日も早くコウノトリがやってくることを祈るばかりだ。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。