北の海に異変! 裏には中国漁船の動向が…歴史的不漁を覆す北海道函館市スルメイカ豊漁のなぜ



ベニズワイガニ、シロエビは地震が原因で不漁続き

このライターによれば、カギとなるのは今年増えたサンマの漁獲高にあるという。

イカと同じくサンマも近年不漁続きだったが、それが昨年の1.9倍へと漁獲量が増加した。

その背景には日本近海で違法操業していた中国船がサンマの漁獲枠を取り切り、イカを求めて南米へ向かったことが伝えられている。

「南米のチリ沖は中国漁船がイカやイワシを乱獲する有数の漁場としても知られている。つまり、南米沖で水揚げされるイカが増えたため値崩れを起こし、日本近海でのイカ漁が減った可能性も否めないのです」(同)

もっとも、他の水産物については相も変わらず不漁が続いている。

例えば、富山県ではベニズワイガニの漁獲量(昨シーズンの今年1〜5月)が107トンと、平年(186トン)の58%。9月から始まった今シーズンも1カ月分が23トンと平年(37トン)の62%で過去最低を記録している。

他方、“富山湾の宝石”と呼ばれるシロエビも解禁された4〜9月までの累計が118トンと、平年(430トン)の27%で、こちらも超のつく不漁状態だ。

「シロエビ、ベニズワイガニの不漁は能登半島地震の発生により富山湾の海底が地滑りし、生態に影響を与えたとみられている。富山湾は標高3000メートル級の立山連峰からの水が、水深1000メートルを超える深い湾に流れ込み豊富な水産物を育むが、海上保安庁の調査では同地震によって海底の斜面が南北約3.5キロ、東西約1キロ、深さ最大約40メートルにわたって崩れ落ちていることが確認されている。そのため、ベニズワイガニの資源回復には9年、シロエビには3年かかると言われています」(同)

水産物の水揚げ高には、地震も影響を及ぼしているのである。

「週刊実話」11月21日号より一部内容を変更