誰が総理に指名されるのか…森永卓郎が指摘する三つのシナリオと自民分裂の可能性



次の自民党総裁は反財務省か、親財務省か

そして第三の可能性は、自公政権に新たな政党を加えることだ。

可能性としては、38議席の維新か28議席の国民民主との連立だが、維新は公明と安全保障政策が大きく異なるため、連立に取り込むことが難しい。

一方、国民民主は玉木雄一郎代表が会見で連立参加を完全否定しており、こちらも連立参加は難しい。

ただ、補正予算を早急に成立させないといけないので、最終的に国民民主が政策ごとに協調する「パーシャル連合」になる可能性が高いだろう。

その際の取引条件は、国民民主が掲げてきた基礎控除などの控除額を103万円から178万円に引き上げる減税策になるのではないか。

本来、国民民主は、公約に掲げた消費税減税を取引材料にすべきだが、その壁が厚いことを元大蔵官僚の玉木代表は分かっているから、無理はしないだろう。

今後起きるもう一つの変化は、石破降ろしだ。

これだけの惨敗をもたらした総理の責任追及は避けられない。かなり近い時期に両院議員総会で新たな自民党総裁が選ばれることになるだろう。

その際、一つの軸は高市早苗元経済安保大臣で、対抗馬は不明だが、例えば加藤勝信元官房長官ではないか。

反緊縮対緊縮、反財務省対親財務省の戦いが行われるのだ。その闘争で、自民党は分裂しかねない。

それはよい変化だ。それぞれの政策に沿った政界再編が進めば、今後の総選挙で国民は緊縮か反緊縮を選ぶだけの政権選択が可能になるからだ。

「週刊実話」11月21日号より