マイホームを手に入れて幸せな生活が始まるはずだったのに…近隣住民の嫌がらせに30代妻がブチギレ「彼らは悪魔です」

現在は実家に戻り、離婚調停中

「極めつけは子供(7歳)が入学したばかりの学校でイジメにあったことです。登下校のグループから仲間外れにされ、不貞腐れてひとりでふらふらしていたところを誘拐されそうになったこともありました。頼んでもいない出前や通販の品物が届くこともしょっちゅうでしたよ」

子供は保健室登校になり、近隣住民と顔を合わせたくないことから美恵さんも部屋に引きこもるようになる。

「なんで私たちがこんな思いをしなきゃいけないの!?」

「そんなこと俺に言われても困るよ!」

「アナタがこのマンションを買ったからでしょ!」

「バカ言え! お前の方が先に気に入ったんじゃないか!」

――連日のように繰り返される夫婦の諍い。

「このままじゃ、家庭が崩壊する」

追いつめられた美恵さんは、マンションを購入した時の担当者を適当な口実で呼び出すと、ここぞとばかりにこれまでの経緯を話し「なぜ、うちがこんな目に遭うのか、売った責任者として納得の行く説明をして欲しい」と詰め寄った。

最初は管理会社同様「不可抗力です」などと、のらりくらりかわしていた担当者も、美恵さんのあまりの剣幕に観念したように事情を説明したという。

「前住人が世話好きのすごく良い方で『マンションの住人たちが退去を惜しんでいた』ということもあるそうですが、一番の理由は前住人がこのマンションの最初の転売者ということじゃないか?と言うんです。この辺りは人気のエリアで『絶対に資産価値が下がることはない』という触れ込みで分譲したため、いくら事情があるとはいえ『そこまで買いたたかれるのか!?』という不安や不満が住人の間に広がり、その結果、我が家がスケープゴートにされているのかも?ということでした。気持ちは分からなくもないですが、納得はできませんよね」

「どうあがいても状況は変わらないのか…」

諦めの境地に至った美恵さんは現在実家に戻り、夫と離婚調停中。「マイホームを手に入れて幸せな生活が始まるはずだったのに、ブチ壊した住人たちも許せません。彼らは悪魔です」と憎しみをたぎらせているという。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。