映画『十一人の賊軍』東京国際映画祭のオープニングを飾る 白石和彌監督「幻のプロットを60年の時を得て映画化できたことが嬉しい」

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10月28日から開催されている第37回東京国際映画祭のオープニングを、この日がワールドプレミアとなる『十一人の賊軍』(11月1日全国公開)が飾った。

上映前には、白石和彌監督や主演の1人である山田孝之ら豪華キャストが登壇し、映画の裏側や見どころを語った。
山田孝之 (C)週刊実話Web
『十一人の賊軍』は『仁義なき戦い』(1973)など数々の傑作を生みだした脚本家・笠原和夫氏による幻のプロットを白石監督が映画化。

戊辰戦争の最中、新発田藩(現在の新潟県新発田市)で繰り広げられた旧幕府軍への裏切りという歴史的事件をもとに、砦を守る任に就いた凶悪な罪人たちを描く。

この日、登壇したのは白石監督、山田以外に、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、一ノ瀬颯、野村周平、小柳亮太、本山力の9名。国際映画祭のため、トーク中には英語通訳が入った。

白石和彌 (C)週刊実話Web
白石監督は「ワールドプレミアを迎えられて嬉しい」「脚本家・笠原和夫の幻のプロットを60年の時を得て映画化できたことが嬉しい」「名もなき人が犠牲になる作品を多く書かれていて、どういう生き方をするかがプロットに残っていて、それを見ていただきたかった」と語る。 

さらに「2014、15年にKindleで発見し、東映さんに話したらプロデューサーさんがやりましょうと言ってくれた」と裏話を明かすと、出演者たちも「そうなんだ!」と驚きを見せた。 

演じた役についてキャスト陣からのコメント 

山田孝之 (C)週刊実話Web
山田孝之「妻のもとに帰る。それだけ。そういう行動が自分勝手で裏切り者。でも彼はそれだけが正義。いつか逃げる時を狙っている。見事な姿の消し方をいています」

鞘師里保 (C)週刊実話Web
鞘師里保 「(演じた)“なつ”は自分の信じた男性に裏切られ、火をつけ、死罪になる。愛がテーマだけどセリフでは描かれてない。でも全編に描かれています」

佐久本宝 (C)週刊実話Web
佐久本宝 「とにかく純粋な男の子。僕自身も心を救われたこともある。酷い状況になるたびに、監督が笑顔になっていた」

千原せいじ (C)週刊実話Web
千原せいじ 「お坊さん役ですが、その後、本当にお坊さんになって(天台宗 僧侶)。この映画を撮っているときは修業をしてないのでお経が下手。いまはお経がうまいです。お経の下手な俺が見れるのはこの作品だけ。楽しんでください」

一ノ瀬颯 (C)週刊実話Web
一ノ瀬颯 「二枚目という役は心の優しい青年。彼が犯した罪は被害者のような、巻き込まれ事故で死罪になる人物。個性豊かな罪人と過ごすうちに、中身も二枚目になって、成長するように演じさせていただきました」

小柳亮太 (C)週刊実話Web
小柳亮太 (元力士・豊山)「引退してから4カ月くらいで話をもらった。『まさか!おれが』と騙された気分でしたが、こんな運命的なお誘いがあるんだというのが第一印象でした。辻斬りという役は自己中心的で、でもどこか正義感のある役だと思っています。めちゃくちゃ人を斬る大罪人ですが、現実はだめだけど、作中ではめちゃくちゃ人を殺す。監督ありがとうございました」

本山力 (C)週刊実話Web
本山力 「おじいちゃんです。時代の流れに逆らわざる侍。その侍がもののふとしていかに生きるかを意識して演じさせもらった」

野村周平 (C)週刊実話Web
野村周平 「僕は、そんなこいつらをひきつれているリーダーです。僕の役はネタバレがすぎるので。悪くないけど、悪いやつ」
山田「今日、何も言ってないよね」
野村「ここまでくると元気なくなるんですよ。長くって」

白石監督「テーマは何かとか、奥底にどう裏テーマを入れるかですが、これは活劇として作ったので、心から楽しんでもらえれば。侍最後の時代の名もなき者の生きざまを見ていただければ」

第37回東京国際映画祭は、11月6日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催されている。

十一人の賊軍
11月1日(金)全国公開
(C)2024「十一人の賊軍」製作委員会
配給:東映 

取材・文/Hirayama Masako