イケメン医師に逆セクハラを働く呆れたマダムも…庶民は知らない「セレブ御用達病院」の“闇”

「女性経験は?」「どんな行為が好き?」

「通常の入院患者さんは作務衣のような院内着を着るんですが、A子はシルクのドレスのようなパジャマでした。診察と言っても問診が中心なんですが、A子は『胸が苦しい』だの『お腹が痛い』だの言って、聴診器をあてさせた後に触診までさせるんですよ。触診は正当な医療行為ですが、A子の場合は胸を揉ませようとしたり、下着の中に手を誘導したりするんです。これ、逆だったら完全にチカンで捕まるレベルですよ。また、A子は行動だけでなく、言葉のセクハラもひどいんです。Bに対して『女性経験はどれくらい?』とか『最近いつしました?』とか、それがさらにエスカレートして『どんな行為が好き?』とかまで言い出したんです。もちろんBもウンザリしてましたけど、相手がVIPですから逆らえません」

B医師から、逐一報告を受けていた稲田さんは、A子の「やりたい放題」ぶりに黙っていられず、院長に直談判に行ったそうだが「雇われの分際で病院のやり方に口を出すな」と相手にされずじまい。

「ヘタしたら、私が解雇されそうな雰囲気だったので引き下がるしかなかったんです」

そんな中、ついにB医師が反乱を起こす。

「『もうやってられません!』と大声を出しながら、BがA子の病室から出て来たので、びっくりして事情を聞いたら『A子さんにズボンのジッパーを下ろされ、下半身を弄ばれそうになった』と言うんです。『とうとうそこまで来たか!』と呆れかえりました」

さすがのB医師も今回ばかりは耐えかねたと見え「これ以上A子さんの担当をさせられるくらいなら辞めます」と院長に直訴。

「若くて優秀なBを手離したくない院長はとうとう折れたようで、A子には『医師不足の遠方の病院に急遽派遣されることになった』とか何とか言ってごまかしたみたいです」

B医師がいなくなった途端、A子はちゃっかりすぐに退院。自宅待機していたB医師は予想よりだいぶ早く病院に復帰できたものの、頭には10円ハゲが3つもできていたというから、相当なストレスだったのは間違いない。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。