本格導入秒読みか 政府推奨で急速に進みだした「デジタル給与」のメリットと課題

完全キャッシュレスの時代が到来!?(C)週刊実話Web
昨今、普及が著しい「電子マネー」。デジタルに疎いといわれている高齢者層においても、マイナポイントや地域振興券のデジタル化などによって、生活に浸透してきているようだ。

そんな状況を背景に、政府は給与の一部を電子マネーで受け取れる「賃金のデジタル払い」を2023年4月に解禁し、24年8月に取り扱い事業者として初めてキャッシュレス決済サービス大手「PayPay」の運営会社が厚生労働省から指定を受けた。

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そして9月25日、通信サービス大手のソフトバンクグループ各社は国内で初めて希望する社員に対し、給与を「PayPay」で支払った。

幅広い分野でキャッシュレス化が進む中、今後このような賃金のデジタル払いの動きが広がるかどうかが注目されている。

そんな中、10月16日に帝国データバンクが全国の企業に対して「賃金のデジタル払い」対応状況について行ったアンケート結果を公表した。

いまだ多くの企業は導入に消極的

それによると、賃金のデジタル払いについて、約9割の企業が「導入予定はない」と回答し、「導入に前向き」はわずか3.9%。やはり多くの企業からは、デジタル払いと口座振込の二重運用や、労使協定の改定などの業務負担増加が、消極姿勢の理由として多く上げられている。

また、取り扱い事業者が破綻した場合は保証機関から弁済されることが決まっているものの“何か起きたときに誰が責任を取るのか不安”といった声が聞かれるなど、そもそも情報が行き届いていないようだ。

世界ではすでに電子マネーによる給与払いは浸透しつつあり、日本においてもそうした世の中が来るのは時間の問題と言える。

とはいえ、普及にはクリアすべき問題も多い。

安心できる“現ナマ”がやはり一番?

「週刊実話」11月7・14日号より