保護児童の親からの「罵声・暴力・いやがらせ」は日常茶飯事! ヤバすぎる児童相談所の過酷な勤務実態(1)



生卵やペットボトルを投げつけられる職員も

「事務所に投石されたことがあります。幸い窓ガラスにヒビが入った程度ですが、人に当たっていたらと思うとぞっとしますね。業務用の車両にいたずらをされたこともあります。車体に釘のようなもので削ったと思われる傷がいくつもついていたり、タイヤがパンクさせられていたこともありました」

これだけでも「器物損壊」という立派な犯罪であるが、恐ろしいのはさらに人に危害を加えるケースもあるという。

「退勤時間を狙って待ち伏せされ、いきなり生卵をぶつけられた職員がいました。相手はたびたび『子供を返せ!』と乗り込んでくる保護者でしたね。職員にケガなどはありませんでしたが『おろしたてのジャンパーがドロドロになった』と嘆いていましたよ。ペットボトルを投げつけられた職員もいます」

危害と言えば、児相に乗り込んで来た保護者や関係者と職員が取っ組み合いになることも多々あるらしい。

「『子供を返せ!』『ダメです』といった応酬のはずみや、膠着状態に陥った時などに突き飛ばされたり、髪を引っ張られたり、蹴られたりすることがあります。向こうも感情的になっていますので、言葉で言ってもダメだと分かるとつい手が出るのでしょうね。突き飛ばされて転んだ拍子に手首を捻挫したとか、机の角に頭をぶつけて流血とかは珍しくないです。さすがに職員に暴力をふるった場合は警察を呼びますが、それで相手が反省することは皆無と言ってよく、大抵は逆恨みされます。私自身がまさに経験者でして、通報により警察のご厄介になった保護者から車で轢き殺されそうになりました」

断っておくが、これらの被害は氷山の一角。児相の職員たちは文字通り「身体を張って」働いているのである。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。