“一のタレ”と“二のタレ”で焼いた「もつ焼き」は食べた瞬間の爆発力がケタ違い! 武蔵野市・吉祥寺『カッパ』【男がほれる酒と肴「ホの字酒場」第3回】

焼き台に乗せられるのを待つ串たち
家族連れに人気の吉祥寺は、酒飲みにも愛されている懐の深い街である。開店が近づくと『カッパ』の前にはオープンを待ちきれない常連の列ができる。

次から次へ飛び交う注文。店主は黙々と焼き台に向かい、手を動かし続ける。その手つきに見ほれていると、自分が店の一部になっているように感じる。

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「先代は『うちは飲み屋じゃねえ』が口癖で、作るのに手間がかかるサワーは出さなかった。それくらい、もつ焼きへのこだわりが強かった」

開店前の仕込みで800本は打つという。もつは下処理の丁寧さがそのまま味につながる
焼き台の前は特等席だ。よく見ると、2種類のタレを使い分けていることに気が付く。
「串打ち3年、焼き一生」炭火でじっくりと焼き上げるから夏は暑さで倒れそうになることも
焼き台の横にある「一のタレ」は甘さとうまさが特徴で、これをしっかりまとわせ9割ほど焼き上げる。

仕上げに使う「二のタレ」はニンニクたっぷりで、食べた瞬間の爆発力はこのおかげ。1日寝かせてうまみを引き出したモツに、2つのタレで深い味わいを与える。
「もつ焼き」一串170円均一。左からトロ、シロ、タン、ハツ、レバー、カシラ
もつの強いうまみに負けない、老酒を好んで注文する人が多いのも納得だ。 

一見の客は店に入るのをちゅうちょするかもしれない。だが勇気を出して入ってほしい。積み重ねてきた歴史が織りなすうまさ、そして手頃な価格に2度驚くことだろう。 

撮影・文/キンマサタカ
「週刊実話」7月25日号より 

カッパ
『カッパ』
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-5-9
0422-43-7823
営業時間16時~22時(土は14時~)
休み:日・祝・月