20年後には65歳以上が4割 蝶野正洋が超高齢化社会を生き抜く“意識と制度”改革を大提案!

蝶野正洋 (C)週刊実話Web
横浜市内で万引き犯を取り押さえた23歳の女性に、神奈川県警から感謝状が授与された。

この女性はコンビニで缶ビール6本の代金を支払わずに店外に逃げようとした男と、従業員がもみ合いになっている現場に遭遇。男に左腕を噛まれながらもヘッドロックで取り押さえ、駆けつけた警察官に引き渡したという。

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一方、東京・歌舞伎町で女性に絡んでいた外国人を止めに入った67歳の男性が突き飛ばされて頭にケガを負い、搬送先の病院で死亡が確認されるという痛ましい事件も起きている。

こうしたトラブルに遭遇したとき、どうするべきなのかというのは難しい問題だよ。自分の身に危険が及ぶ可能性があるんだから。

俺は目の前でケンカしているのを見かけたら止めに入ると思うけど、セオリーとしてはまず警察を呼んだほうがいいと思う。暴れている相手が、どんな武器を持っているかも分からないからね。

1990年代に新日本プロレスのリングで活躍したトニー・ホーム選手とスコット・ノートン選手が、アメリカのレストランでケンカになったことがあった。

ホーム選手は普段からメリケンサックのような先のとがった金属製の指輪をしていて、それで殴ったからノートン選手の顔が血だらけになったんだよ。あんなデカい奴でも凶器を身につけてるわけだし、暴れているやつが武器を持っていることを警戒するにこしたことはない。

まずは警察に連絡して、警察が来るまで時間がかかるから、大声を出してなるべく周りの人にも止めに入ってもらったほうがいい。数人で取り囲めば、興奮して暴れてるやつを無力化させることもできるはずだ。

体に不具合を抱える人が主流に

救急救命でも道で誰かが倒れていたら、自分で救命行動を取るだけでなく、声を出してなるべく周りに助けを求めるというやり方がある。緊急時は、とにかく周囲にいる人間を巻き込むのは有効なんだよ。

歌舞伎町のケースで言うなら、外国人を相手に止めに入った60代男性は正義感が強いし、それなりに腕にも自信があったんだろうと思う。

60代ぐらいのオヤジたちが学生だった頃は社会が荒れてたから、街でよくケンカをしていた世代だし、その感覚が残ってるから勇敢に向かっていってしまうんだよ。でも、体は全盛期と同じように動かないんだから、これからは意識を変えていくべき。

現在、日本の人口構成は65歳以上の高齢者が3割くらいだが、20年後にはそれが約4割になるといわれている。要するに、身体能力が落ちてどこか体に不具合を抱えているような人が主流になるんだよ。

でも、今の社会は30〜40代くらいの健康な人を基準に設計されている。地図に「駅から徒歩5分」と書かれていても、足腰の弱った高齢者が歩いたら10分かかったりする。信号や踏切も、時間が短くて渡りきれない老人がたくさんいる。

電車の乗り換えも間に合わないし、新幹線では駅で停車する時間が短すぎて降りられなかったりする。こういうのも一度、高齢者基準で計算をやり直して、変えていったほうがいい。社会のルールと高齢者自身の意識、どちらもアップデートしていく必要がありそうだ。

「週刊実話」10月31日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。