亡夫の親と親族関係を解消 「死後離婚」で第二の人生を歩む妻たちが急増中!



義実家が差し押さえられ絶縁

一方、死後離婚の理由を「パラサイト小姑を見捨てるためです」と話すのは、2年前に夫を交通事故で失くした岡野真由子さん(仮名・43歳)だ。

「夫と義妹(27歳)はふたり兄妹です。年齢が一回り離れていることもあって、夫は義妹を可愛がっていましたし、義両親も年をとってからデキた娘をめちゃくちゃ甘やかしていたせいで、義妹はろくでもない人間でした。大学まで出してもらいながら定職に就くこともなく10年以上実家にパラサイト。義両親の年金は常に彼女が使ってしまうため、別居していながら、義両親は我が家で養っていたようなものです」

いつも肩身が狭い思いをしている義両親が不憫だったため、真由子さんは夫の死後も変わらず援助を続けていたが、しばらくしてホスト遊びにハマった義妹の借金で実家が差し押さえられたことでさすがに堪忍袋の緒が切れたという。

「幸い義両親は親戚一同が面倒を見てくれることになりましたが義妹は出禁。となると義妹が我が家に転がり込んで来そうですし、そうでなくても彼女が私の夫の保険金を当てにしているのは明らかだったので、しゃぶりつくされる前に絶縁しようと死後離婚することにしました。路頭に迷い始めた義妹からはSOSがしょっちゅう届きますが、法律上、何の関係もない他人なので無視しています」

同様に「妻の実家や身内と縁を切りたい」という理由で死後離婚を選択する夫の例や、「夫の実家のお墓に入りたくない」「実家の両親の面倒がみたい」などの理由で死後離婚を選ぶ妻も多かった。

死後離婚は、故人である配偶者と離婚するわけではないので遺産を相続することも遺族年金を受け取ることもできる。

要は、「面倒な姻戚関係を排除する」ための手段なのだ。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。