学校給食にも支障! 現実味を帯び始めた“物価の優等生”モヤシが食卓から消える日

画像はAIで生成したイメージ
福岡県福岡市教育員会は、給食に使用するモヤシの調達が困難になったため、市立小学校の児童の保護者に「使用食材を変更します」という文書を9月末に発送。“物価の優等生”と呼ばれたモヤシを生産する業者の廃業が後を絶たないことから、食卓からモヤシが消えるのではと危惧されている。

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「モヤシの歴史は古く、約1200年前の平安時代は薬草として重宝されていたんです。江戸時代になると、長崎に漂着した外国人が栽培方法を伝えたことで食材として利用されるようになった。モヤシは光がない環境でも育つことから、第2次世界大戦中には潜水艦内で栽培されていたほどです」(食品アナリスト)

モヤシは気候に左右されないため、2010年から10年間の平均価格は29円〜31円。しかし、モヤシの原料となる緑豆を生産する中国の生産者の減少とロシアのウクライナ侵攻以降の原油高は大打撃となった。

生産者は8割廃業

「日本で輸入する緑豆の約9割は中国産です。その中国では生産者が緑豆を作るより、トウモロコシなどの穀物を栽培したほうが利益になるとして生産作物を替え、輸入も大幅に減った」(同)

『工業組合もやし生産者協会』によると、1995年に全国で550社以上あったモヤシ生産業者は現在、2割以下までに減り95社。約30年でその多くは経営難に陥り廃業に追い込まれているという。

「中国から輸入する緑豆の価格が20年前に比べると、4倍以上高騰しているにもかかわらず、モヤシはスーパーの安売りの目玉商品にされてきた。1袋200グラムの小売価格が10円以下の時期もあった。これでは利益は出ませんよ」(流通ジャーナリスト)

そのためか、もやし生産者協会は文書等で繰り返し、窮状を訴えてきた。2024年7月時点で小売価格は地域によって60円台まで上がったが、原材料費や光熱費アップでは焼け石に水だ。

「学校給食にも支障をきたすほどモヤシ生産業者は追い詰められている。モヤシの食文化を根絶させないためにも、適正な値上げを認めるべきです」(同)

生産業者の減少とともに、“もやしっ子”という言葉も死語になりそうだ。

「週刊実話」10月24日号より