診断書を理由に無罪放免! 犯罪者に加担し凶悪事件を続発させた医療現場の“闇”



最後はあらゆる犯罪の共犯者に…

「当初は嘘でもメンヘラのふりをしていた彼らですが、次第に面倒くさくなったのか『眠れない』『死にたい』などの雑な申告だけで目的を遂げようとするようになった。自分の悪事の免責のために通院歴や診断書を欲しがる人間がほとんどでしたが、処方された薬を闇で売りさばくこともしていたようで、Aは医師ではなく薬の売人のようになっていましたし、Aはあらゆる犯罪の共犯者に成り下がっていました」

SNSが発達すると「闇の掲示板」といったところでAの情報が拡散された。それとともにAの病院は繁盛し、金銭感覚がおかしくなったAにもはや良心などは残っていなかった。

「警察もバカではありませんから、犯罪者がAの患者ばかりだったら、当然怪しみますよね? おそらく以前から内偵はあったと思いますし、税務署にも目をつけられていたはずです。医師法違反か薬機法(旧薬事法)違反か、脱税か、いずれにせよ、Aが逮捕されるのは時間の問題でしたね」

閉院された後もAの病院には反社めいた人間がひっきりなしに訪れているといい、廃墟化されつつある建物を彼らが不正に占拠することもあるらしい。

「彼が加担することになった犯罪の全容を把握、解明することは不可能かも知れないし、最終的にAがどんな罪に問われるのか分かりませんが、彼のような医療従事者が二度と現れないよう、厳正な処罰を望みたいです」

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。